陸上自衛隊・ユニチカ/戦闘服地加工工程を公開/繊維関連では初の試み

2014年07月25日 (金曜日)

 防衛省陸上幕僚監部は23日、ユニチカの子会社大阪染工(大阪府島本町)で、自衛隊の迷彩戦闘服地を加工する工程を報道関係者に公開した。情報公開の一環として、自衛隊を支える防衛関連産業を紹介するのが目的。これまで砲身を製作する日本製鋼所や車両を製作するいすゞ自動車、無線機を製作するNECで同様の催しを開いてきたが、繊維関連ではこれが初の試みとなる。

 冒頭であいさつに立ったユニチカの松永卓郎取締役常務執行役員は「戦闘服は航空機などに比べて規模こそ小さいが隊員一人ひとりが身に着ける大変重要なもの。機能性を詰め込み、世界トップレベルの日本の繊維技術の集積と言える。見学で国内生産の重要性を感じてもらえたら」と述べた。

 今回公開されたのは、ビニロン綿混の原反を染色して迷彩柄をプリントするまでの準備・染色の2工程となった。戦闘服には、耐久性や寸法変化率といった基本性能のほか、可視偽装性に加えて夜間暗視鏡や赤外線カメラに対応したIR偽装性、熱火炎防護性など各種の性能が厳しく要求される。現行の迷彩戦闘服は1992年から採用されている。

 大阪染工はユニチカ特需部とともに、とくに偽装性への性能要求を満たすため染料、助剤、染色方法など多方面で研究を重ね、スレン染料によるプリント技術を開発した。工程ごとに素材・染料の色変化を予測確認して完成品を規格値内に収める同技術は高難度で、国内有数、世界でもトップクラスの水準にあるという。

 こうした技術を最終的に支えるのは、色合わせで発揮される染料使用量調整などの熟練工の技術と、要求規格以上に厳しい同社独自の管理基準だ。こうした国産ならではの高水準技術の維持のため、同社は「近年、トヨタ生産方式、ISO9001、熟練技術の継承を“三本の矢”として掲げてきた」(大阪染工の矢野稔社長)。各部門に教育目的で退職者を招いて配置し、効率化と技術伝承に同時に取り組む。