東レ/インドでエアバッグ基布/産資専門機業と合弁で
2014年07月28日 (月曜日)
東レはこのほど、インドでのエアバッグ基布の事業化を明らかにした。9月にインドの産業資材用テキスタイル製造販売会社、クスンガー(ムンバイ市)との合弁により「トーレ・クスンガー・アドバンスト・テキスタイル」(略称TKAT)を設立。インド・クジャラート州のサリガン工業団地に工場を建設し、2016年10月に生産・販売を開始する。
TKATは資本金14億インドルピー(約23億円)、出資比率は東レ85%、同社タイ子会社のラッキーテックス5%、クスンガー10%。従業員数は当初、数十人からスタートする。社長は東レから派遣する予定だ。
TKATは10数億ルピーを投じて、新工場を建設し、ウオータージェット織機20台、コーティング加工機1台を導入。エアバッグ用のノンコート布、コート布を生産する。需要に応じて順次設備を増強する計画で、17年度は8億ルピー、21年度には25億ルピーの売り上げを見込む。
また、日本・タイ・中国・チェコと同一品質品を生産し、現地供給に加え、グローバルで融通する体制も整える。原糸となるナイロン66は現在、増設を行うタイ子会社のタイ・トーレ・シンセティクス(TTS)から供給する。
東レの三木憲一郎産業資材・衣料素材事業部門長によると、インドの自動車生産台数は13年の370万台から21年度には710万台に拡大する見通し。エアバッグの装着率も50~60%と急速に高まっており、16年からの衝突試験が義務化されるため「エアバッグの標準装備が進み、年率約20%の伸びが想定される」。さらにインドは中東、アフリカ向けの完成車輸出の拠点としても伸びる可能性がある。
これまではインド国内でエアバッグ布製造は行われておらず、タイを中心に基布をベトナムで縫製し、インド進出するエアバッグ部品メーカーに月40万メートル供給されていた。その面で、TKATはインド初のエアバッグ布メーカーになる。
合弁相手のクスンガーはパラグライダーやパラシュートの基布、土木資材、エアフィルター、防護服など産業資材用専門のテキスタイルメーカーで、TTSの原糸販売先でもあった。「太繊度糸の扱いに慣れているうえ、産業資材の品質管理が行える」こともあり、手を組んだ。