特集 スクールスポーツ/再加熱するブランド競争/少子化で市場の攻防激しくなる

2014年08月01日 (金曜日)

 スクールスポーツ市場は、少子化で市場が縮小傾向にありながらも2020年には東京五輪の開催が予定され、活気付いてきた。アパレルによる新たなスポーツブランドの導入が再び熱を帯びてきたのも、その表れかもしれない。自社ブランドを含めて市場に攻勢を仕掛ける動きがますます活発化していきそうだ。

学生服アパレル/各社の〝特色〟明確に/着実にシェア拡大へ

 学生服アパレルの大手の菅公学生服(岡山市)、トンボ(同)、明石被服興業(岡山県倉敷市)などスクールスポーツの今入学商戦は総じて堅調だ。人気のスポーツブランドだけでなく、商品企画の見直しを進めてきた自社ブランドの動きもよく、人口が多い都市部での新規獲得校が目立つ。

 シェア最大手の菅公学生服は7月期、売り上げが前期比3%増の増収となる見通し。自社ブランドの「カンコー」と、スポーツブランド「リーボック」「アディダス」とも総じて堅調で、子供達を支援する「ドリームプロジェクト」といった取り組みを通じ、学校との関係を深耕してきたことで都市部だけでなく地方でもシェアを伸ばした。

 明石被服興業は5月期、売上高で初めて「デサント」が自社ブランドを上回り、デサントの累計採用校は約1100校となった。来入学商戦に向けても「まだまだ入っていない地域があり確実に拾っていく」と、前期と同様の100校の獲得を目指す。

 トンボは6月期、計画に対して苦戦したものの、3%の増収は確保する見通しで、大都市圏で採用校を増やし、「ヨネックス」は累計での採用校が約500校となった。昨年から小学生に人気が高いアキレスの「瞬足」ブランドを導入するなど、幼稚園から小学校、中学、高校まで幅広い商品展開でシェアを広げる。

 瀧本(大阪府東大阪市)は6月期、5%の増収になる見通し。「ロット」は計画比で未達だが、累計で70校まで伸長。自社ブランド「タイガースポーツウエア」は新規で10校ほど獲得した。来入学商戦は「機能素材の導入やデザイン性を高めて提案力を強化する」ことで市場開拓に弾みを付ける。

 児島(倉敷市)やオゴー産業(同)も善戦する。児島は、“選びやすさ”に重点を置いた商品企画が好評で、今期の売り上げでは若干の上乗せを見込む。より選びやすい価格設定など“プラスワンの付加価値” 追求で他社との差別化を明確にする。

 オゴー産業は、国際支援団体の「セーブ・ザ・チルドレン」とコラボレートしたスポーツ衣料の売れ行きが好調。商品の売上金額の一部を支援金としてセーブ・ザ・チルドレンに提供する仕組みで、生徒の関心を高め、教育につなげるために導入するケースも増えてきたという。

スポーツ専業アパレル/生産基盤を固め供給強化/新ブランド投入で攻勢

 スポーツ専業アパレルは、海外生産の比率が高く、円安や人件費の高騰などによるコストアップが課題になってきた。生産拠点や素材調達を見直し、供給の安定化に努めながら、学生服アパレルの攻勢に対抗する。

 海外の生産比率が約90%を占めるアシックスジャパンは、素材の在庫圧縮によるロス低減などで効率的な供給体制を目指す。アシックスのアスレチックなどのテースト、デザインを生かし、体育授業以外の部活動や郊外活動など、需要の掘り起こしも進める。

 ミズノは生産の海外比率を現状の75%から3年後には90%にまで高める方針。昨年、インドネシアを縫製拠点が稼働。来入学商戦に向けては日本製生地を持ち込みタイで縫製する生産体制も構築しており、いずれ現地の生地を活用し、縫製まで一貫生産体制の構築も進める。

 新たなスポーツブランドの投入で、市場のシェアに変動が起きる可能性がある。ユニチカメイト(大阪市中央区)は今春から「プーマ」ブランドの展開を開始した。

 私立高校を中心にアプローチを仕掛け「当初計画の60~70校は視野に入ってきた」と、堅調な動きを見せる。

 ギャレックス(福井県越前市)は、今年から「ニューバランス」の販売を開始し、初年度の採用校数が150校に達し、6月期の増収に寄与した。「フィラ」や「スポルディング」、自社ブランド「ギャレックス」とともに「それぞれのブランドイメージを大切にしながらシェア拡大に努める」考えだ。

菅公学生服/産学連携で人材育成/生徒が体操服の企画実践

 菅公学生服は7月17日、岡山県立岡山南高校と「岡山南高校服飾デザイン科産学連携実学体験プロジェクト」を進める協定書を交わした。同プロジェクトは同校の生徒が同社の実際の活動を体験し、キャリアアップや産業の活性化につなげようというもので、服飾デザイン科2年生40人が参加している。

 プロジェクトでは、制服を企画するに当たってのプロセスや実学を菅公学生服の社員が講義するとともに、5月からは「これからの体操服」をテーマに岡山県内中学校の体操服デザインと企画書の作成、プレゼンテーションなど実践してきた。

 今後、生徒達が企画した体操服については同社の展示会で試作した体操服を披露する予定。問田真司取締役はプロジェクトについて「生徒達にとってやりがいのあるもので、将来社会に出て活躍するときに経験が役立つはず」と、生徒たちにエールを送る。