特集 スクールスポーツ/各社の動向
2014年08月01日 (金曜日)
菅公学生服/都市部、地方とも堅調/新規校の獲得、積極的に
スクールスポーツで最大のシェアを持つ菅公学生服は7月期、3%の増収を見込んでいる。昨年、関東ではスポーツの専任の販売担当員を置くなど、営業力を強化。
自社ブランド「カンコー」を中心としたブラディングに力を入れてきたことに加え、子供を支援する「ドリームプロジェクト」といった取り組みを通じて、「新規の獲得校が前期よりも増え、喪失校も減った」(問田真司取締役)ことが、増収につながった。
カンコーブランドでは、アクアチタン製品で有名なファイテンとのコラボレート製品「カンコー×ファイテン」が「教師への知名度があって目標校を超えるぐらい獲得できた」と好調。「リーボック」「アディダス」のスポーツブランドも順調に新規の採用校を増やし、なかでもアディダスは価格帯が高いものの、中高一貫など私学を中心に販売を伸ばした。
商品の企画力向上もシェア拡大に貢献している。素材では東レの植物由来ポリエステル繊維「カンコーエコスクールBIO(バイオ)」や、床との摩擦熱でも融けにくい「トケナイン」といった独自性のある素材群が充実。立体裁断の「4Dカッティング」といった、動きやすさや着心地のよさを追求した技術も評価が高まってきた。
来入学商戦に向けてもドリームプロジェクトとともに、学校や教師の教育現場での課題解決を支援するプロジェクト「カンコーマナビプロジェクト」をベースに市場を深耕。今年11月に東京、大阪で開催を予定する総合展では昨年に引き続き、他社が参加する形式の「スクールソリューションフェア」を計画しており、学校や他社との連携を深めながら「今まで以上に新規獲得を積極的に進める」(問田取締役)考えだ。
明石被服興業/中期計画の達成見える/「デサント」1100校へ
明石被服興業(岡山県倉敷市)のスクールスポーツ部は2年前、最終年度40億円の売上高を目標に設定した3カ年の中期計画「アグレッシブ40」をスタートした。5月期の売上高は5%から10%弱の増加で着地する見通しで、達成がほぼ見えてきた。今期は4%増の売り上げを計画する。
売り上げ拡大をけん引するのは「デサント」ブランドで、前期で初めて売上高の割合が自社ブランドを上回った。前期も約100校の新規採用があり、累計採用校としては約1100校となった。1000校を超えて、採用校の鈍化が懸念されるが、「まだまだ入っていない地域があり、確実に拾っていく」(宮崎将人スクールスポーツ部長)と、今期も100校の新規採用を目指す。
自社ブランドの「ヨットスポーツ」も様々な機能素材を使った「ニューブロッカー企画」や、空気触媒加工「TioTio」企画など、機能面での充実が図れてきたことから販売は堅調。デサントでは定番商品での対応しかできないが、自社ブランドでは別注対応も可能で、スポーツウエアで「独自性を出したい学校からの引き合いが増えてきた」という。
合展では、「デサント」ブランドで新しいデザインの4品番を展示。TシャツではTioTioと高耐久消臭加工を組み合わせた機能素材「デオダッシュ」使いを新たに開発。ヨットスポーツ」では3品番投入し、「モイステックス・クリーン」など、より機能面を充実させた製品を打ち出した。
また、本社での総合展だけでなく、全国各地でスポーツウエアのみの展示会も開催。スポーツトレーナーなどを招いた講演会が好評で、ウエア開発のコンセプトに対する理解度の向上や話題性の広がりから、新規市場の開拓につなげる。
トンボ/幼稚園から高校まで/商品充実でシェア拡大
トンボのスポーツ事業本部は4年前から4支店で専任による販売体制へと移行しており、東京や大阪など大都市圏を中心にシェアを拡大しつつある。6月期は計画に対しては「既存校の自然減の影響が大きかった」(佐伯均スポーツ事業本部副本部長)ことから苦戦したものの、前期比約3%の増収を確保する見通しだ。
「ヨネックス」ブランドはここ数年、毎年約100校の新規採用校が決まっており、前期も同じペースで推移、累計での採用校は約500校となった。他社のブランドでは1000校を超えるケースもあり、同社としても1000校が今後の目標の目安となる。一方で自社ブランドの「トンボビクトリー」などは機能性の追求などで販売を伸ばし、事業部の売上高としてはヨネックスが4割、自社ブランドが6割となっている。
昨年秋冬からは小学生向に知名度があるアキレスのシューズブランド「瞬足」の体操服を投入した。初年度はTシャツやハーフパンツのみの展開だったが、今年度からジャージ関連商品などもそろえてアイテムが充実、「学校へも本格的に提案する」考えだ。
合展示会ではヨネックスの販売用コンセプトモデルを披露した。顧客の反応はよく、今後は様々な意見を取り込みながら市場価格の設定やデザインを見直し、2~3年後の製品化を進める。自社ブランドでは、熱中症・紫外線対策として、採用が増えている襟付きや長袖の体操服などを打ち出した。
今期もヨネックスの採用校として100校を目標に掲げるほか、引き続き専任体制による市場の深掘りを進め、京や大阪での開拓を強化。幼稚園児向けの「マイパレット」から小学、中学、高校までの商品群をそろえる強みを生かし、スクールスポーツ市場における現在のシェア8%から、10%への拡大を目指す。
児島/“プラスワン”の価値追求/選びやすさ重点に商品構成
学生服製造卸の児島(岡山県倉敷市)のスクールスポーツは今期(1~12月期)、前期よりも微増収で推移しそうだ。5つのスタイルに分けてユーザーニーズに対応した商品群を充実し、「販売店が学校に対して提案しやすくなったことで成果が出始めてきた」(山本真大取締役商品企画本部長)という。
同社は2年前スクールスポーツのカタログを一新し、「タフ」「アスリート」「コンフォート」「ベーシック」「エコロジー」の5つのテーマに分類し、“選びやすさ”に重点を置いた商品群にまとめ、本当に必要な機能を選んでもらうことで付加価値を高める戦略へ転換してきた。他社がスポーツブランドを導入するなかで、自社ブランドしか持たない同社は「プラスワンの付加価値をいかに追求するか」差別化を進める。
来入学商戦に向けては、学校が、より導入しやすい価格帯の商品群を充実。5つのテーマそれぞれで価格帯の抑えたシンプルなデザインのスポーツウエアを投入し、価格帯の幅出しで選択肢を広げる。
また、身体の骨格に合わせたパターン「骨格裁断」を採用したウエアを開発。最近はゲリラ豪雨など気候の変動が極端になるなかで、急な雨風に強い、ジャージにウインドブレーカーの生地という異素材の組み合わせによるウエアも打ち出した。単価は上がるものの、野外活動や部活動でも安心して着用できる。
ほかにも、輝度がこれまで比べ2倍になる再帰反射材「R―400」を採用したウエアや、アシンメトリーなデザインのウエア、バスケットボールが入る通学かばんなど独自の商品が豊富。地域によっては体操服で通学する学校もあり、制服と体操服のデザインを統一することで、トータルコーディネートしやすくする工夫など、対応力の強化で市場開拓に弾みを付ける。
瀧本/14年6月期5%増収/定番インドネシア活用
瀧本のスクールスポーツ事業の2014年6月期は、売上高が前期比5%増の7億9000万円での着地を見込む。11年に販売を始めたライセンスブランド「ロット」は累計で70校まで伸びたが、計画比では未達だった。自社ブランドの「タイガースポーツウエア」は新規で10校ほど獲得した。ただ他社とのコンペで競り負けるケースもあり、ブランド力向上などが課題に挙がる。
同事業を担うスポーツ開発部は7月から2人増員15年6月期は売上高10億円を計画する。15春入学商戦に向けては「機能素材の導入やデザイン性を高め案力を強化」(清水光男部長)する。
ロットブランドでは、曲線の切り替えパターンやアシンメトリーをはじめ、明るいカラーを配色した差し色、3本針飾りやカラーパイピングでデザイン性を高めた。素材にはポリエステル捲縮加工糸を使用し、吸汗速乾性に優れた「アクエアーD2T」、接触冷感性やUVカット、透け防止性に優れた「ドライアイスII」も採用。私学の別注向けを主眼に訴求する。またロットでは定番品向けに、インドネシアオペレーションを構築する。東洋紡グループのネットワークを活用し、国内で編み立て・染色して、インドネシアの東洋紡グループであるシンコー・トーヨーボウ・ギステックス・ガーメント(STG)で製品化し、高機能、高品質、コスト低減につなげる。
タイガースポーツウエアは15春入学商戦に向けて機能性を重視し、防透けや吸汗速乾の各機能を高めたほか、シャドーストライプ柄を展開する。
このほか、雨対策のソフトレインウエア、水着ではシャツタイプのラッシュガードや、セパレートタイプ、スカートタイプを提案する。
ユニチカメイト/15年3月期10%増収へ/「プーマ」100校目指す
ユニチカメイトは2015年3月期、スクールスポーツウエアで10%増収を計画する。今春から展開する「プーマ」ブランドの反応がよく、「私立高校を軸に70~100校の獲得を目指す」(稲葉昌久社長)方針だ。
同社は、日本初となる学校体育衣料向けの独占販売契約をプーマジャパンと3月に結んだ。低年齢層へのブランド認知を拡大したいプーマと、オリジナルブランド「ユームーブ」以外の拡充を進めていたユニチカメイトの意向が合致した。現在、私立高校を中心に500校弱を選定してアプローチしており、「当初計画の60~70校は視野に入った」とし、さらなる上積みを図る。また相乗効果で、ユームーブの拡販も図る。
プーマはトップ、ミドル、ベーシックの3レンジで展開する。ユニチカトレーディングの生地を100%使用するのが特徴だ。トップレンジのジャージにはストレッチ素材「マイクロゼットテン」、半袖シャツには異型断面糸使いの吸汗速乾・防透素材「ルミエース」、ミドル、ベーシックレンジには吸汗速乾素材「スパッシー」の高機能素材を採用する。トップとミドル一型は、日本製生地を中国で縫製し、ミドルの一型とベーシックはインドネシア一貫で組み立てる。トップレンジのトレーニングウエア上下、半袖シャツ、ハーフパンツ4点セットで、オープンプライスながら2万円程度での販売を想定する。
14年3月期は、前期比4%減の22億円にとどまった。ライセンスブランドの「ニューバランス」の契約が13年12月に、販売も14年3月に終了したことが影響した。売り上げの内訳は幼稚園から高校までのスクールスポーツウエアが20億円、ユニフォーム用シャツなどが2億円を占める。
ミズノ/タイに生産拠点/素材集約でコスト低減
ミズノのスクールスポーツウエアの14年3月期は、1%増収の20億5200万円だった。私学を中心とした高校向けが売り上げの9割以上を占め、新規校が微増、消失校が微減と、継続校が安定して推移した。素材では透け防止や消臭機能を付与したシャツが伸びた。
ウエアは定番が8割、別注が2割を占める。定番品を中心にコストメリット追求のため、海外生産比率を高めており、同比率を現状の75%から「3年後に90%まで高める」(田上光芳スクール・法人生産課長)方針だ。その一環として2013年にインドネシアの縫製拠点が稼働した。ただインドネシアは「最低賃金の上昇率が高い」こともあり、15春向けには、日本から持ち込んだ生地をタイで縫製する生産体制も構築。さらに「生地もタイで開発中」で一貫生産を図る。
またこれまで品番ごとに異なっていた素材を集約・共有化して在庫のリスクヘッジを進める。数量が確定してから生産に取り掛かると、生産期間が短いため、日本で一部対応する場合もあり、コスト増につながっていたが、リスクヘッジしながら備蓄力を高めることで需要に即応できる。
社内組織についても前期から、スクールスポーツの企画・生産チームが、グローバルアパレルプロダクト本部に移管し、素材や生産地などで全社の資源を活用できるようになった。そのため、より効率的で機動的な開発・生産体制を整える。
販路では中学校向けを強化している。高校向けに比べて価格帯が低いため、ミズノブランドの品質基準を守りながらローコスト化を訴求する。
素材は吸汗速乾や透け防止を標準装備しながら、消臭機能も提案する。
ギャレックス/ブランド個性明確に/「ニューバランス」150校に
ギャレックス(福井県越前市)が中学・高校向け体育衣料として2014年1月から販売を開始した「ニューバランス」ブランドの初年度採用校数が150校に達した。来15シーズンに向けて新商品を投入し、各ブランドの個性を明確にしながら自社ブランド「ギャレックス」、提携ブランド「フィラ」に続く柱商品に育成する。
梅田雅治取締役スクール営業部長によると、スクール営業部は、全国6カ所の支店・営業所を通じて全国に広がる販売代理店と共に、販売、納品後のアフターフォローを行っている。スクールスポーツウエアの売り上げは14年6月期で46億円と前期比約5%増加した。
ニューバランスはこの増収に寄与した。今年1月の販売開始後、初年度採用校数は150校に上った。同ブランドのイメージである機能性の高さと明るい色調を採用した。15シーズンに向けて既存顧客にアピールするとともに、新規校の開拓に努める。提携ブランドでは02年から発売したフィラの採用校数が800~900校、11年発売の「スポルディング」が40校に増えた。
来シーズンに向けてフィラではブランドが持つ世界観を膨らませ、トリコロールなどイメージカラーを強調、ブランドの原点に回帰した商品群を投入する。ニューバランスは明るい色めを採用、機能性を引き続き高めた品ぞろえを拡充する。スポルディングは米国発信のイメージを重視し、パイピングによる切り替えなどでデザインのシャープさを強める。
基幹ブランドのギャレックスは体を動きやすくするためのウエアとして基本の吸汗・速乾・耐久性などの機能に加え、リーズナブル価格で訴求する。
アシックスジャパン/14年3月期は2%増収/競技用カッティング活用
アシックスジャパンのスクールスポーツウエアの2014年3月期は、前期比2%増収の43億円だった。今期からは12月期決算に変わるものの、14年度(14年4月~15年3月)として同期間で比べると43億8000万円への微増収を見込む。
14春入学商戦は消費増税前の駆け込み需要があり、売り上げを押し上げた。軽量で防汚性やストレッチ性、抗菌防臭性を持つ新素材「アクティブマジック」を採用したスポーツウエアは、20校前後の新規獲得につなげた。公立高校を中心に展開する「380シリーズ」、同シリーズよりも一格上の価格設定で私学を中心とした中高生向けに展開する「Sラインシリーズ」も堅調だった。一方、主力の高校向けは厳しさもあり、150校の新規獲得校があったものの、同数程度の校数を失った。期末の納品体制にも課題を残した。
同社は定番品が90%程度と高く、海外生産比率も約90%を占める。為替の影響もあり、コストアップが課題に挙がる。
15春入学商戦に向けては、素材の在庫圧縮によるロス低減などで効率的な供給体制を目指す。またアシックスのアスレチックなどのテースト、デザインを生かし、体育授業以外の部活動や郊外活動などにも応える。
15春入学商戦に向けた商材では一般高校向け「Aライン」で摩擦熱に強い防融性に優れたクラレトレーディングのポリエステル100%「パワロン」使いをはじめ、Sライン、Aラインで軽量、防透性を高めた帝人フロンティアのポリエステル100%「アクアセンサー」使いや、小中高校向け価格対応シリーズ「Cライン」でアクティブマジック使いを訴求する。
また16年春入学商戦に向けて、スポーツ専業メーカーの強みを生かし、競技用カッティングを学販スポーツウエアに反映する取り組みも進める。




