特集 スクールユニフォーム/学校生活で豊かな心を育む制服

2014年09月29日 (月曜日)

 学生服業界は少子化の波を受けながらも、アパレルの寡占化が進んできたことで、ここ数年は堅調に収益を伸ばしてきた企業が多い。しかし、ある程度、集約が進んだことで、市場でのシェア拡大に向け競争がますます激しさを増してくる可能性がある。素材メーカー各社の値上げ要請を受け、価格改定も視野に入れなければならないなか、事業規模を維持、拡大していくためにも新たな戦略を練っていく必要性に迫られる。

学生服大手、増収基調に/シェア拡大で激しい争い

 学生服メーカー大手4社の決算は、14入学商戦で新入生の生徒数が増えたことや、消費増税前の前倒し需要があったことで、まずまずの結果となりそうだ。

 菅公学生服(岡山市)の7月期決算は、都市部だけでなく、地方も順調にモデルチェンジ(MC)校の新規獲得が増えたことで増収になる見通しとなっている。「ドリームプロジェクト」など、学校支援で「単なる制服メーカーとしてではなく、ワンランク上を目指して来た」(尾﨑茂社長)成果が出た。

 東京や大阪、福岡といった都市部での健闘が目立ったトンボ(岡山市)は6月期、売上高が前期比3%増の258億円と増収。MC獲得校数で「ナンバーワンの実績を今年も守ることができた」(近藤知之社長)と分析する。

 明石被服興業(岡山県倉敷市)も「関東や東海など都市部での別注物件の新規獲得が堅調」(河合秀文社長)だったことから5月期の売上高が5・4%増の232億円と増収で、生徒数では1万人の純増となった。

 瀧本(大阪府東大阪市)はMC校の獲得が前年並みで推移したことで、6月期の売上高は横ばいの約98億円だった。

 ニッケによると、来入学商戦のモデルチェンジ(MC)校数は現在150校で推移しており、最終的に今年の14入学商戦の190校に近い、約200校で着地するとみられる。ただ、新入生が2%ほど減るとみられ、MC校獲得に向けたシェア争いがより激しさを増してきそうだ。

相次いで工場が始動/設備増強し、雇用増やす

 学生服メーカーは、新工場としてトンボが「トンボ倉吉工房」(鳥取県倉吉市)を7月から、菅公学生服が「菅公アパレル大山工場」(鳥取県大山町)を8月から相次いで始動した。いずれも本社がある岡山県に隣接し、地方公共団体からの進出助成があるとともに、学生服業界の市場の寡占化が進み、生産能力の拡大の必要性があったためだ。

 トンボ倉吉工房は、トンボにとって8番目の国内生産拠点。従業員は30人で、初年度の生産量はブレザーを中心に2万点を見込む。従業員を1年間で10人ずつ増やし、2016年年度には50人、6万点の生産量を計画する。トンボ倉吉工房では社長以下、工場長をはじめ、若い人材を配置し、独立採算制をとることから「経験を積ませ、人材の育成にもつなげる」(近藤知之社長)狙いもある。

 菅公学生服の菅公アパレル大山工場は、19カ所目の自社工場で、30年ぶりの国内での新設となる。従業員は近隣の米子工場からの応援も合わせて70人、来年3月までに3万点の生産を目指す。早期に従業員を100人まで増やし、生産量も7月までに6万点を計画。「国内の生産拠点は数々あるが、心を一つにして品質の飽くなき向上や、徹底した納期管理をする」(尾﨑茂社長)考えだ。

 スクールシャツなどを生産する山下産業(岡山市)は、ニットシャツ専用の鳥取の工場に現在60人の従業員がいるが、年内に100人まで増やす。

 工場の敷地内に裁断センターを新設し、CAM1台を追加、既存CAMと合わせて2台に増強する。工場では移設したCAMのスペースが空くことから新たに縫製ラインを設け、生産量を拡大する。本社工場も60人ほど従業員を増やし、縫製ラインを拡大することで、学生服メーカーから増える受注に対応する。

企画開発、より顧客目線へ/ざん新な切り口が随所に

 学生服メーカーは6月から今月にかけ、東京や名古屋、大阪、岡山など各地で来入学商戦に向けた展示会を開いた。少子化で学校数が減るなか、他社との差別化を鮮明にし、顧客目線により近づけた企画開発とともに、商品を選びやすくする工夫が随所に目立った。

 フルMCよりもマイナーチェンジが増える傾向にあることから、瀧本はMCコーナーを設置し、マイナーチェンジ実例校を紹介。佐藤産業(東京都千代田区)も、デザインを大きく変えずパターンやサイズ、生地、付属などでアップグレードする「マイナーアップグレード企画」で更新でのコストを抑制したい学校などへ訴求する。

 トンボは会場でじっくり制服を検討してもらうために「制服検討委員会」という形で開催。世界の制服や最新の採用事例校の制服、定番商品の新作、スポーツウエア、販売店向けにゾーンを分け、独自の詳細な調査データと圧倒的なボリュームで制服のMCをサポートする。

 児島(倉敷市)は、歴史的な偉人の名言に沿ったイメージやデザインによる制服を打ち出すというざん新な試みが来場者の関心を呼んだ。

 明石被服興業は、店頭で商品を魅力的に見せる実用的なディスプレーを披露。コストをかけずに見せるアイデアを示した。

 学校のなかには、学校そのものをブランド化するなかで制服も重要な要素。デザインだけでなく素材からこだわる学校のニーズをとらえるため、明石被服興業は御幸毛織(名古屋市)と共同開発したウール100%素材「美優着(みゆき)」を投入。オゴー産業(倉敷市)も素材メーカーと共同で1㍍当たり3000円以上の高級ウール素材「Zeo(ゼオ)」を開発した。

 政府が小中一貫校の制度化に向けた検討を開始していることを受け、佐藤産業は小中高一貫、中高一貫など、類似性を持たせながら年齢にふさわしいデザインと仕様を備えた制服をコーディネートで紹介。業界では一貫校化が追い風になる可能性もあり、それに向けた商品開発も加速する。