大手学生服メーカー/増収基調も利益面で格差

2014年10月22日 (水曜日)

 学生服製造大手4社の決算は、2014年入学商戦で新入生の生徒数が増えたことや、消費増税前の前倒し需要があったことで、3社が増収となった。一方、利益では原材料の上昇、多品種小ロット化などによるコストアップが響いたことで2社が減益だった。今期は素材メーカーの値上げ要請が強まるなか、制服価格を改定するかどうかの判断を迫られそうだ。

<今期は“値上げ”焦点に>

 今年の入学商戦では新入生が前年から増えたこともあって、各社は増収基調となった。明石被服興業(岡山県倉敷市)は、「関東や東海など都市部での別注物件の新規獲得が堅調だった」(河合秀文社長)ことで、生徒数が1万人の純増となった。キャンパスニットシャツの販売も好調で、学生向けシャツの新たな主力定番品になりつつある。

 トンボ(岡山市)は、差別化商品の展開により制服モデルチェンジ獲得校数では「ナンバーワンの実績を今年も守ることができた」(近藤知之社長)。東京、大阪、福岡の3支店が堅調で、なかでも福岡は店頭向けの詰め襟服、セーラー服などの販売が好調で、シェアを拡大できた。

 菅公学生服(岡山市)は、「都市部だけでなく地方でも順調に新規モデルチェンジ校を獲得した」(尾崎茂社長)ことで売上高は期初に計画していた330億円を上回った。子供の未来を応援する「ドリームプロジェクト」など、単なる制服メーカーとしてではなく、 「“ワンランク上”を目指してきたことも成果につながった」。

 瀧本(大阪府東大阪市)は新規獲得校と喪失校はほぼ同数だったものの、少子化に伴う生徒減の影響を受けたことで売上高は横ばいだった。

 利益面では、明石被服興業が新規獲得校の拡大で増益になったが、トンボは「トンボ倉吉工房」といった設備投資費がかさみ、前の期ほど伸ばせなかった。菅公学生服や瀧本は円安による原材料コストの上昇、小ロット・短納期化、品種転換の増加など製造コストが上昇したことによって減益となった。

 今期はトンボが学生服の売り上げで初めての200億円台を計画するなど、各社は増収を計画する。ただ、素材メーカーの値上げ要請が本格化するなかで、学生服メーカー各社は制服値上げの判断を迫られる。明石被服興業は「原材料だけでなく、人件費も上がっていくなかで、全体の環境を考えれば、やはり多少の値上げをお願いしていかなければならない」(河合社長)と、学校へ価格改定の打診を進めるものの、他社は判断を決めかねている。

 ニッケによると、来入学商戦のモデルチェンジ校数は現在150校で推移しており、最終的に今年の14入学商戦の190校に近い、約200校で着地するとみられる。しかし、新入生の数は15入学商戦で2%ほど減り、「今後10年間で約19%減る」(トンボの近藤社長)との見通しであることから、シェアを維持・拡大したい各社は、値上げに慎重な姿勢を崩さない。