帝人 炭素繊維事業/川中・川下展開に軸足/米国に新規生産拠点も
2014年11月07日 (金曜日)
帝人は炭素繊維複合材料事業で、素材の開発・供給を中心とする川上展開から「加工」「部材・部品供給」を視野に入れた川中・川下型ビジネスモデルの構築に力を入れる。現状、売上高ベースで2~3割の川中・川下展開を、2020年をめどに「倍の規模にする」(吉野隆炭素繊維・複合材料事業本部長、東邦テナックス社長)。また顧客の現地調達ニーズに対応するため、米国内に炭素繊維工場の新規建設を検討する。
吉野本部長によると、高機能繊維事業グループの事業規模の3分の1程度を占める炭素繊維・複合材料事業の今上期業績は、増収・増益だった。航空機用途のほか、北米での圧力容器用途、アジア向け土木補強用途など全般的に順調に推移した。通期は、価格競争による市況悪化は「あまりない」と見込んでおり、前期の第4四半期から黒字基調も続いていることから、前期の赤字から黒字に転換する見通しを示した。
今後に向けては、原糸販売は航空・宇宙用途では顧客要望に合わせた新規開発を継続的に行う一方、熱硬化性CFRP(炭素繊維複合材料)、熱可塑性CFRPなど複合化による川中・川下展開に「軸足を移したい」と考える。帝人グループが中期計画に掲げる「ソリューション提供」型のビジネスモデル構築を目指す。
なかでも成長が見込まれる風力発電、自動車、圧力容器など一般産業用途で、とくに自動車関連に力を入れる。高速硬化プリプレグ(炭素繊維に樹脂を含浸させたシート)や成形加工時間を短縮する熱可塑性CFRP「セリーボ」など、CFRPの量産ノーマル車対応技術の確立を急ぐ。吉野本部長によると、セリーボを素材として認定したGMとの量産技術共同開発は「商業化に向けた最終段階にある」という。




