クラレ繊維資材事業部/デボトルで増産図る/新市場の需要増見込み

2014年11月17日 (月曜日)

 クラレの繊維資材事業部は2015年度(1月~)からの新中期経営計画でビニロン、高強力ポリアリレート繊維「ベクトラン」のボトルネック解消で増産を図る一方、18年度以降を見据えた拡大構想も同時に練る。

 新中計では「新市場開拓とコスト削減」(豊浦仁執行役員繊維資材事業部長)を掲げる。新市場開拓による販売量の拡大に備えて、ビニロンやベクトランの増産を図る。

 ビニロンは主力のFRC(繊維補強セメント)用で新興国需要の増加を見込む。現在、東南アジアや中南米、北アフリカ、中東など新規市場の比率は10%程度。これを引き上げるとともに、スレート以外の建材用の開拓にも取り組むことで販売量を増やす。

 「クラロンK―II」は高強力タイプによるコンクリート補強分野の本格化が課題。すでにスペックインできているものもあるため、新中計期間での販売増を見込む。

 新市場はPEI繊維や「エバール」(EVOH)繊維、「ジェネスタ(PA9T)」繊維など独自素材による開拓も進める。難燃性や低発煙性が特徴のPEI繊維は飛行機や船舶などの内装分野でテストが進んでおり、早期の量産化を目指す。

 ベクトランでは細繊度糸による織物など加工品を強化する。同時に新たな製造法を模索しており「新中計中には実現したい」と考える。これによりコスト削減に加えて、増産も可能となる。

14年度上期増収増益/量拡大と円安が寄与

 繊維資材事業部の14年度上期業績は1けた%の増収、2けた%に近い増益となり、当初計画を上回った。各素材が販売量を拡大し、生産増によるコスト低減が効いたほか、各素材とも輸出比率が高いため、円安もプラスに働いた。

 輸出比率が60~65%のビニロンは欧州向けFRC用輸出が堅調だったうえ、新興国向けも増えた。ビニロン長繊維は欧米、アジア向けのオイルブレーキホース用などが伸びた。クラロンK―IIはタオル用刺繍糸用など好調だった。輸出比率80%のベクトランは欧米のロープ、スリング、ベルト向けに加え、細繊度糸やその織物、原着糸、紡績糸など差別化品も伸びた。ポリエステルショートカットファイバーは独自原料であるEVOH、PA9Tなどが伸び、収益を押し上げた。

 通期(4~12月)でも増収増益を計画する一方「下期の3カ月は中計初年度に向けた助走として重要な時期」と位置づけ、とくにビニロン新製法、ビニロン・イノベーティブ・プロセス試験設備の4月稼働することから、サンプル品でのスペックインを目指す。