抗ウイルス加工/日本提案がISO規格に/来年4月から「SEK」マーク認証開始

2014年11月18日 (火曜日)

 繊維評価技術協議会(繊技協)などが中心となり国際標準化機構(ISO)に提案していた繊維製品の抗ウイルス性試験方法・基準が9月1日付で正式にISO規格として発効した。これに合わせ、繊技協は来年4月から「SEK抗ウイルス加工マーク」を新設し、認証を開始する。試験方法・基準が国際標準規格となり、それと整合化したマーク認証制度が始まることで、抗ウイルス加工素材・製品の普及に弾みが付きそうだ。

 今回、ISO規格として発効したのは「ISO18184:2014 繊維製品の抗ウイルス活性試験方法」。繊技協とバイオメディカルサイエンス研究会、日本繊維製品品質技術センターが共同開発し、2012年にISO提案していたものだ。

 ウイルスは細菌と異なり、宿主細胞内でしか増殖しない。このため試験は繊維上に付着したウイルス感染価の減少値を測定することで抗ウイルス活性値を算出する。ウイルス感染価の測定にはプラック数測定法と培養細胞TCID50法を採用した。試験ウイルスはエンベローブ(ウイルスを包む脂質二重膜)があるインフルエンザウイルス(H3N2型)とエンベローブが無いネコカリシウイルス(ノロウイルスの代替)を使用する。試験環境はバイオセーフティーレベル2で試験可能だ。

 抗ウイルス性試験方法がISO規格となったことに合わせ、繊技協では来年4月から「SEK抗ウイルス加工マーク」を新設し、認証業務を開始する。試験方法・基準はISO化された繊技協法で行い、ほかのSEKマーク認証同様に加工剤には急性経口毒性試験、変異原性試験、皮膚一次刺激性試験、皮膚感作性試験、加工製品には皮膚貼付試験を課し、安全性試験に万全を期した。

 また、加工が宿主細胞にダメージを与えていないことを確認するために本試験とは別に宿主細胞検証試験として宿主細胞に対して細胞毒性確認試験とウイルスへの感受性確認試験を行うのも特徴だ。安全性試験と宿主細胞検証試験と合わせ、効果と安全性に対して極めて高精度な試験を採用していると言えよう。

 指定検査機関は、日本繊維製品品質技術センターのほか、カケンテストセンター、ボーケン品質評価機構、ニッセンケン品質評価センターの4検査機関が担当する。