特集・ユニフォーム総合 メディカル・介護ウエア/15年に向けて活況継続
2014年11月27日 (木曜日)
医療機関向けのメディカルウエアと介護ウエアは14年もアパレルメーカーの新規参入があり、ビジネスユニフォームのなかでも活況が続く。景況に左右されにくいのも、この分野の特徴。国は現在、医療・介護が連携する「地域医療構想」を打ち出しており、今後の環境整備によってユニフォームの需要が促進される期待感が出てきている。
〈メディカルウエア〉/医療現場への提案、前進
メディカルウエアは医療機関の従業員の福利厚生に直結するユニフォームであり、しっかり予算を組むユーザーが多い。オフィスウエアメーカーのヤギコーポレーションが新ブランド「リゼルヴァ」を発売、医療ウエア市場に本格参入することで、プレーヤーが1社増えた。
今年6月に名古屋市で開催された「看護フェア」に続き7月に都内で開催された医療・福祉関連製品の展示会「国際モダンホスピタルショウ2014」では、メディカルウエアを手掛けるアパレルメーカーが最新作を出展した。
業界最大手のナガイレーベンはカタログ「ナウェイ」からスタイリッシュな白衣、ロングセラー絵本の主人公「ミッフィー」の柄入りスクラブを前面に出していた。
メディカルウエアだけでなく病院事務などの業務を対象にしたユニフォームも制作、展示するようになったのも目を引いた。院内の案内も兼ねたフォーマルな装いが増えており、モダンホスピタルショウに初出展したジョア、スクラブで新商材を発信し続けるフォークもこの部分の需要に着目している。
「20/40」を展開するトンボは、ブライトな白にアクセントカラーを配したジャケットとパンツスタイルを提案、色柄付きのスクラブが増えるなかで「正統派」の印象を与えた。きれいなシルエットと動作性を兼備させ、カタログのタイトル通り20代から40代まで対応する。
サンペックスイストは「トリンプ」ブランドのナースウエアで、フォークがワコールと共同開発した「ワコールHIコレクション」とは女性からの認知度の双璧を成す。
スポーツブランドからの提案ではアプロンワールドの「アディダスSMS」、チトセがミズノと手を組んだ「ミズノ」、明石被服興業がデサントから引き継いだ「ルコックナース」、住商モンブランの「アシックス」がある。ワーキング系からはミドリ安全、自重堂が出展。オンワード商事もカタログ「ラフィーリア」を更新し新規獲得に臨む。
「増税では前倒し需要もあったが年次で見れば収束される。ただし魅力のない商品しか展開できなければ購入控えもある。顧客ニーズにあった商品開発ができていることが条件」とナガイレーベン。競争が激しくなる市場で、サプライヤー全社に共通の条件と言えるだろう。
〈介護ウエア〉/超高齢化社会に向けて
介護向けウエアの新規参入が続く。今年はアイトスがカタログ「ペップ」で「国際福祉機器展 HCR2014」に初出展した。会場の一角は様々な最新商品がそろい、“ユニフォーム村”の様相となった。
介護向けカタログを展開しているアパレルはナガイレーベン、白衣大手のアプロンワールド、学生服大手のトンボ、菅公学生服グループのシーユーピー、明石被服興業、レディースユニフォームのカーシーカシマ、セロリ―、ボンマックス、フォーク、サービスウエアのチトセなど。主力事業のノウハウを生かした商品で差別化を図る。
メディカルウエアが白衣を基本としているのに対し、介護ウエアはジャージやポロシャツが主流、私服という職場もある。
単価はメディカルウエアより低く、汚れたら洗い、古くなったら捨てるという使用法が主流だ。だがここ5年ほどで様相が変わってきている。色やデザインの自由度がどんどん広がっているのだ。
ジャージやポロにチノパンは定番アイテムだが、ジャージではスポーツブランドの「アディダス」(アプロンワールド)、「ルコックスポルティフ」(明石被服興業)がある。認知度に加えスポーツ用の設計・仕様が「動きやすい」「チームとしての統一感がある」など、ノーブランドの低価格品とは一線を画す。
ほか、キャラクター商品(ナガイレーベン、セロリー)、メディカルウエアの提案(フォーク)、介護サービスの利用者向けの企画(トンボ)もある。カラーもかつての無難なパステルカラーから、大胆な原色使い、私服のようなカジュアルテーストからジャケットのフォーマルスタイルも珍しくなくなった。
ウエアの多様化の背景には市場の拡大と、事業形態の広がりがある。とくに団塊世代が定年を迎える2012年以降はサービス産業としての介護が充実、イメージを意識したウエアが増えてきた。
一方、着実に進む超高齢化で、介護は誰にとっても身近になった。これに合わせ高級感があるハイエンド調のウエアからリーズナブルなウエアまで企画されている。
しかし、価格の制限はメディカルウエアと比べはるかに多い。介護事業者には大手が少なく、ユニフォームに十分な予算がとれないユーザーも多数存在する。高額では売れないが、無難が取り得の均一的なウエアが勝ち残る可能性はさらに低いだろう。
利用者と就業者数は増えていくが、財源と人手不足も指摘されている介護市場。サプライヤーは行政の制度と現場の声の双方から情報を集め、需要に迫っていく必要がある。
〈ユーザーレビュー〉/医療・介護スタッフが同ブランド
山梨県の甲州リハビリテーション病院と在宅支援センター甲州ケア・ホームはそれぞれ、医療法人の銀門会が運営するリハビリテーション病院と介護老人保健施設である。2013年、2施設のユニフォームを「アディダス」ブランドで統一した。ナースはジャケットにパンツ、ケアスタッフはジャージにポロシャツ、チノパン。以前も同型のアイテムを採用していたが、ブランドのシンボルである3本ラインをあしらったウエアは一つのチームのような一体感を醸し出す。
「医療・介護サービスも競争の時代。民間企業のようにアイデンティティーをしっかり打ち出すべき」(銀門会)という意識の変化があった。さらにスタッフが快適に働き、プライドを持って働くことでサービス向上につなげる狙いもあったという。
リニューアル後の評価は上々で、動きやすいのはもちろん「リハビリや抱きかかえるときに利用者の触れる部分が柔らかいので安心」と、医療・介護向けの仕様に信頼性も高い。
1人4着を支給、洗濯はバーコードで管理し、常に衛生的なウエアを着用できる。「ユニフォームでストレスを作らない」という配慮だ。
この一体感を基に『一生自宅で暮らしたい』という願いに応え、地域に貢献していきたいとしている。




