スクールスポーツウエア/新ブランド参入でシェア争い激化
2014年12月03日 (水曜日)
スクールスポーツウエア市場の2015年入学商戦は、消費増税の反動が懸念されたものの、前期よりも増収で推移する企業が多い。ギャレックス(福井県越前市)の「ニューバランス」、ユニチカメイト(大阪市中央区)の「プーマ」といった新たなスポーツブランドが参入するなかで、シェア争いが一段と激しさを見せる一方で、学校支援など新たな取り組みでシェアを拡大する動きも強まる。
<市場開拓へ学校支援も>
15年入学商戦は、今年に比べて新入生が少なくなる見通しだ。このため、採用校が増えても、生徒数だけを見れば減っている状況にある。ただ、各地場で体操服を納入している企業が後継者の問題や資金繰りなどで事業から撤退するケースが増えているとみられ、有力学販スポーツウエアメーカーによる市場の寡占化が進んでいる。とくにスポーツブランドは市場で出そろった感もあり、シェア争いによる競合が激しさを増してきた。
明石被服興業(岡山県倉敷市)は15年入学商戦に向け、「デサント」ブランドの新規採用校が14年入学商戦に引き続き約100校になる見通しで、累計採用校は1200校近くになりそうだ。04年のブランド導入からわずか10年の間にここまで伸ばした背景には「提案力に加え、他社との差別化ができ、デサントの良さを認知してもらっていることがある」(宮崎将人スクールスポーツ部長)。
トンボ(岡山市)も「ヨネックス」の新規採用校が約100校と例年並みに推移。ベンチレーション(温度調節)機能や着用感、デザイン性など「こだわった作り方が評価されている」(佐伯均スポーツ事業本部副本部長)ことから累計採用校は600校に拡大する。昨年秋冬に展開を始めた小学生向に知名度があるアキレスのシューズブランド「瞬足」の体操服では、今年度からジャージ関連商品などもそろえ、小学校市場へも攻勢をかける。
プーマを前面に押し出しながらシェア拡大を図るユニチカメイト(大阪市中央区)は、11月初旬の時点で10~20校の間で採用校が推移。目標とする60校に届かない可能性もあるが、「今年見送りでも来年に向けて継続審議になるところも多い」(稲葉昌久社長)。ジュニア向けにも販路を広げ、市場の掘り起こしを進める。
瀧本(大阪府東大阪市)は、「ロット」の15年入学商戦での採用校が20~30校で推移。小ロットでの別注対応が増えるが、生産体制の充実で、高品質の維持や納期対応ができる。
スクールスポーツウエア市場で一番大きいシェアを持つ菅公学生服(岡山市)は「リーボック」「アディダス」の採用校を増やす一方で、自社ブランド「カンコー」の販促にも力を入れてきた。「カンコー×ファイテン」などダブルネーム戦略も進め、3年前から増収に転じ、15年入学商戦も新規獲得校が目標に近い数値で推移する。
子供たちを応援する「カンコードリームプロジェクト」や、岡山南高校服飾デザイン科との「産学連携実学体験プロジェクト」など、学校支援の取り組みが「少しずつ採用校の新規開拓につながっている」(若松伸雄第一営業本部長)状況で、少子化で縮小する市場のなかにあって活路を開く。