商社OEM展/羊毛がアウターの主役に

2014年12月17日 (水曜日)

 商社による15秋冬向けOEM展示会が本格化している。重点的に提案する商材はウールだ。「軽量感」が外せないキーワードになっている。レイヤード化するダウンアイテムの上に着用するスタイリングも取り入れ、ウールの活況は来シーズンも継続する。

<店頭で“価値”伝わる工夫を>

 アウターは秋冬向け提案の軸となる商材だが、ダウンアイテムからウールコートへのシフトが顕著だ。店頭では、ダウンの動き出しは低調。寒くなるのが遅かったこともあるが「市場に行き渡り、新しい提案も出尽くした」との声は昨年から聞かれた。

 代わって、アウターで街の主役になったのがウールコート。ダッフルコートやブークレ素材を使った、すっぽり包み込むようなシルエットの商材、チェスターコートの動きが好調となっている。

 こうしたトレンドは15秋冬も継続する見込みで、素材背景の拡充や独自開発による提案に各社とも取り組む。外せない要素の一つが「軽量感」で「快適性を高めるために、あって当たり前」のものになっている。

 三井物産インターファッションは、中空ウールを開発。カシミヤタッチの上質羊毛と水溶性特殊繊維を組み合わせ、加工で水溶性繊維を溶解させることで、糸に空気を含ませ軽量・保温性を与える。

 丸紅ファッションリンクも羊毛で素材背景を広げた。15秋冬向けでブルガリア羊毛を提案する。気候により、繊維に強いクリンプを持つことが特徴の同国羊毛は、クリンプによる膨らみ感とその空気層による軽さ、保温性を訴求し、尾州産地機業との協業で展開する。

 こうした商材は、防風性が低下するため、インナーに着込む薄手のダウンアイテムと組み合わせるスタイリング提案とともに打ち出す傾向があるのも、15秋冬向けの特徴となっている。

 また、新たに打ち出す差別化羊毛の付加価値を直接消費者に伝えるブランディング戦略も積極的だ。

 日鉄住金物産は欧州、中国、国内産地との協業など国内外の生産背景を活用した、二重組織のウール高混率素材を織り・編みともに展開する考え。柔らかさや軽量性を特徴に「フラッフィ・ライト・ウール」の素材ブランド名を冠して独自性を打ち出す。

 伊藤忠商事でも希少メリノウール、豪州のハミルトン地域、英国のシェットランド島産羊毛の3素材を、セレクトショップ向けで重点的に展開する。オリジナルタグも作成して15秋冬向けからの取り組みにつなげる。直接買い付けによるトレーサビリティーの確保、高品質羊毛を選り分ける選別ノウハウなど、原料ビジネスの経験を製品OEMに反映させる。

 高まる価値志向への対応、店頭価格アップの理由づけとして、調達背景やモノ作り背景が持つ特徴や物語性を伝える工夫が必要となっている。そのツールとしてブランディングの持つ説得力は強い。