繊維ニュース

検査機関の2015年展望

2015年01月06日 (火曜日)

 検査機関にとって円安は、海外の人件費増など収益の圧迫要因となる。また、国内の衣料品市場は今後縮小が予想されており、非衣料分野の開拓も課題である。各検査機関は縫製のアセアンシフトに対応しながら、新たな市場開拓にも注力する。

グローバル化と非衣料分野開拓

 カケンテストセンター(カケン)は昨年、3カ年計画をスタートさせた。この3年間を調整期と位置づけ、構造改革を進めている。背景には「円安の進行、中国などの人件費アップ、国内では消費増税による衣料消費の伸び悩み、競争激化など環境はさらに厳しくなる」との予測がある。

 カケンは昨年8月に中国の上海科懇南通事務所を開設した。「アセアン地域への生産地移転が進んできたが、日本語が通じやすい中国を改めて見直す動きも出てきた」。上海科懇検験服務と無錫分公司が連携し、南通地区での試験相談や短納期対応などきめ細かいサービスを進める。中国では上海、青島、大連、寧波、無錫に拠点を設けてきた。その中心は上海科懇検験服務。染色堅ろう度、物性から、機能性、雑貨試験まで国内と変わらない試験体制を敷く。寧波、青島でも雑貨試験に対応する。

 中国以外では香港、韓国、台湾、タイ、ベトナム、インドネシアに拠点を設けるほか、バングラデシュでは、韓国のKOTITIバングラデシュと提携して昨年10月からサービスを提供。香港検査所は東アジアの要と位置づける。「人材育成、海外ビジネスの拡大、新分野の開拓、提携機関との関係強化」などを今後の課題とする。

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、人材教育、ネットワークの強化、事業領域の拡大などに注力するが、最近は提携や協力による事業拡大の成果が上がってきた。

 昨年は国内事業が持ち直す一方で、海外は停滞気味だった。中国の人件費アップや円安の影響が出た。そうしたなかで上海と常州の試験センターは堅調。昨年5月に南通事務所を設けて受付業務も開始した。

 アセアン地域ではインドネシアにジャカルタ試験センターを設置。タイではバンコク事務所を2013年11月に開設、14年4月からSGSタイランドとの包括的な業務提携でバンコク試験センターに改編した。カンボジアもタイで管轄する。

 ベトナムも事務所として進出後、昨年4月からSGSベトナムとの業務提携でホーチミン試験センターとなった。タイ、ベトナムを軌道に乗せてからカンボジア、ミャンマーへの対応を検討する。

 国内では異業界との取り組みを強化する。衛生材料・用品の日本衛生材料工業連合会、台所用や住宅用洗剤の洗剤・石けん公正取引協議会から除菌試験の認定を受け、ウエットワイパーや洗剤・石けんの除菌試験を開始した。

 電気安全環境研究所(JET)とも、各種試験について業務協力をスタート。昨年3月に繊維系として初めて食品衛生法の認定検査機関となっており、新たな市場を開拓する。

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、バングラデシュにあるダッカ試験センターの規模を倍増し、欧米向け試験にも対応していく。

 バングラデシュには繊維系検査機関として初めて進出。ダッカのシルバータワー2階に試験室を開設したが、同ビル5階にも試験室を設けた。ISO試験を意識してキセノン耐光試験機も導入した。

 13年4月のダッカの縫製工場ラナプラザの崩壊事故で、バングラデシュ生産から撤退する企業もあった。しかし、世界の大手企業は生産撤退ではなく、基金を設けることで現地の労働環境の改善に取り組んでいる。バングラデシュの縫製業は今後も成長すると予想する。

 また、新たなアセアン拠点である「QTECバンコク試験センター」の試験は徐々に拡大しており、検査業務は安定している。

 中国では上海総合試験センターが中国の核として展開。アゾ試験、抗菌、生活用品などを実施し、CNAS(中国が国家基準として与える試験室認定)も取得。GB試験については上海のほか、青島、無錫でも対応する。

 一方、東京総合試験センターはアパレル製品のほか、服飾雑貨や産業資材の試験も実施。こうした服飾雑貨は中国の上海総合試験センター、深●試験センターでも行う。15年もトータル支援サービスを拡充しながら、選択と集中、営業力の強化に注力していく。

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は昨年11月に、「インド ジャイプル事業所」の業務を開始した。インドへの繊維系検査機関の独自進出は初めて。11年8月に日印経済連携協定が発効され、両国の貿易拡大に期待は大きい。

 同事業所はアゾ試験、ホルマリン試験、機能性試験、製品検査などを行う。アゾ染料に含まれる特定芳香族アミン問題に関する厚生労働省の調査(12年)では、インドからのランチョンマット、ショール、シーツなどから問題物質が検出された。厚労省が特定芳香族アミン規制を法制化すれば、インドにおけるアゾ試験はますます重要になる。

 国内では「エコテックス規格100」の認証活動を推進するほか、高視認性評価測定を中心に防災・安全評価試験を実施。内外を問わず、安全・安心分野に注力する。

 インドネシアでは生産の中部ジャワへのシフトに応じて出張検品のソロ検品センターを開設した。ミャンマーのヤンゴン検品センターのほか、カンボジア・プノンペンに検品会社を設立し、グローバル化に対応していく。

 中国では南通事業所のほか、崇川、上海、南通人民路、煙台事業所を設け、内販向けにも対応する。

 昨年4月には青島事務所を開設。同事務所で受け付けた商品は煙台事業所で試験する。検品業務も進めており、新たに南通の如東に検品センターも開設する。

●=土へんに川