不織布新書/原油価格に一喜一憂

2015年03月16日 (月曜日)

不織布は原料比率が高い。長繊維不織布であれば樹脂価格、短繊維不織布は化合繊短繊維の価格に大きく左右される。このため、昨秋から原油価格が大幅に下落し、その後反発する動きに関連企業は一喜一憂する。果たして4月以降、原料価格はどう動くのか。不織布メーカーとの価格交渉が今まさに始まっている。

どうなる不織布原料

原油の指標とされる米国のニューヨーク・マーカンタイル取引所でのWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油価格(2月27日)は4月渡しで149㌦台。最安値の47㌦台は脱したが、直近の最高値である2014年6月(105㌦強)に比べると半値だ。アジア指標のドバイ原油は3月2日、現物(5月渡し)で59㌦。1月の50㌦割れから反発するも、まだ安値水準であることに変わりはない。

 原油はナフサ価格に連動し、ナフサから精製する合成樹脂や合繊原料に波及する。ただ、時間もかかる。後決めのナフサは3カ月後のため、影響を与えるのはその後。しかも、原油価格は世界的な思惑で大きく変動する。

 反発の気配をすでに見せているだけに先行きは非常に読みにくいのも事実だが、10~12月にナフサ価格が下がるのは間違いない。その効果は4月以降に表れてくる。

 フォーミュラ方式(ナフサや原料価格、為替相場などを基準に一定の数式を用いて、コスト変動分を自動的に価格に反映する仕組み)を導入するものは自然と値下げになるため、完全なプラスとは言い難いが、不織布関連企業にとって多少、コストプッシュは緩和されるだろう。とくに長繊維不織布や化合繊短繊維メーカーにとって原油下落はある面朗報と言える。

 ただ、化合繊短繊維メーカーとそれを原料とする短繊維不織布メーカーの交渉は簡単ではなさそうだ。原油価格の下落を受けて、短繊維不織布メーカーは「原料価格の是正を要請」し始めており、原料メーカーも「価格見直しは避けられない」との見方を示す企業はある。

 しかし、ポリエステル短繊維メーカーのなかには「一昨年からの用役費、物流費上昇分などは転嫁できていない。円安もある。原油価格が反転しつつあるなかで先も読みにくいなかでは据え置きたい」との声も。固有の事情から逆に値上げ交渉を始めた品種もあるだけに、4月以降需要家と供給者の価格攻防は激しくなりそうだ。

5月に不織布展相次ぐ/独テクテキと中国ANEX

 今年5月、不織布の展示会が相次ぐ。産業用繊維・不織布の国際見本市「テクテキスタイル2015」が5月4~7日、ドイツ・フランクフルトで、アジア国際不織布産業総合展示会・会議「ANEX2015」が翌週の5月13~15日、中国・上海で開催される。

 テクテキスタイルは2年に1回の開催で、今回展には日本企業から海外子会社も含めて旭化成せんい、カネカ、帝人、東レ、東洋紡、三菱レイヨンなど大手合繊メーカーのほか、アキレス、フジコー、平岡織染、加平、小松精練、日本グラスファイバー工業、JX日鉱日石ANCI、群栄化学工業、YKKや信州大学繊維学部などが出展する。短繊維不織布メーカーのフジコーと信州大学繊維学部は初出展となる。

 前回(2013年)は世界48カ国・地域から1322社が出展し、97カ国・地域から2万7500人の来場者を集めたテクテキスタイルは世界最大の産業用繊維・不織布の国際見本市だ。同展の特徴は衣料用生地の展示会のように、各社一律で製品や生地サンプルを展示しているわけではない点にある。

 各社ごとに出展の目的が異なり、それに対応したブース構成を行っている。欧州の需要家との商談やミーティングに重点を置く企業が多いが、様々な製品を展示して顧客開拓を狙う企業、その中間に位置する企業に分かれる。

 一方、ANEXは3年に1回の開催となる。前回の2012年は初めて韓国ソウルで開催したが、24カ国・地域から237社が出展し、62カ国・地域から1万3373人の来場者があった。今回は中国・上海、そして次回の18年は東京開催が決まっている。

 ANEXはアジア不織布協会(ANFA)が主催するもので、米国不織布協会が主催するIDEA、欧州不織布協会のINDEXと並ぶ世界三大不織布展の1つ。アジア最大規模の不織布展であり、3つの展示会は欧米亜3団体間の相互協力契約に基づき、アジア、米、欧の順で持ち回り開催されている。

 今回のANEXに日系企業では旭硝子、旭化成せんい、オルガン針、エルマルコ、JNC、日本バイリーン、金井重要工業、化繊ノズル製作所、倉敷繊維加工、メック、日本タングステン、日本ノズル、日東ベントバンチェリック、住友精化、双日、帝人、東レなどが海外子会社からも含めて出展する。

アジア成長のなかで中国も質的転換/ひと言

 「世界の不織布企業トップ40が専門誌で発表されたが、アジア企業は9社がランクインした。これもアジアの不織布業界の発展を示している」とはアジア不織布協会の王延熹会長〈上海希達科技董事長〉。2013年全世界の不織布生産量は約850万トンだったが、このうちアジアは350万トンと約4割強を占めるまでになった。もう一つ発展の表れとして挙げるのが、5月13~15日に中国・上海で開催するアジア国際不織布産業総合展示会・会議「ANEX2015」。前回(2012年)の韓国開催に比べて出展者数は約2倍となる見通しで「出展希望が多くスペースが足りない」と胸を張る。ただ、アジアをけん引する中国の不織布産業については「質的に遅れている」とチクリ。「これまでは中国もそれでよかったが、これからは質への転換が必要」と指摘する。量的な拡大を続けてきた中国の不織布も変わり目にある。繊維と同じか。