素材メーカー/モノ作りをバックアップ

2015年03月27日 (金曜日)

旭化成せんい/花粉防止や4大消臭提案

 旭化成せんいのベンベルグ事業部では、キュプラ繊維「ベンベルグ」の2015年3月期の寝装向け販売量が前期比20%増で推移している。国内販売は横ばい水準だったものの、中国内販が伸長した。

 来期は、国内寝装用でベンベルグ長繊維の販売拡大、海外は「育ってきた中国内販をさらに伸ばしたい」(入克彦ベンベルグ第一営業部長)とする。

 生地はダニやほこり、花粉を防ぐ軽量高密度テキスタイル「コスモファイン」、中わたは「アクアミュー 4大消臭タイプ」などの販売に力を入れる。コスモファインは、ベンベルグとポリエステルの複合で、羽毛側を主眼に入れて展開する。糸売りだが、日本と中国の最適な生地組み立ても提案する。

 アクアミュー4大消臭タイプは、アンモニア臭・酢酸臭・イソ吉草酸臭・ノネナール臭の消臭に効果を発揮する。枕用粒わたなどで16春夏向けから投入する。

ニッシン・トーア/「アポロコット」積極活用

 ニッシン・トーアの繊維部門の2015年3月期は、前期比減収減益を見込む。

 寝装のリネンサプライ向けは健闘したものの、一般寝装、アパレルとも消費マインドの冷え込みを受けて前売りが低調だった点が響いた。寝装用は生機の8割をインドネシアで生産しており、14年後半の急激な円安で持ち帰りビジネスの収益が悪化した。

 来期は次世代形態安定加工「アポロコット」の拡大や二次製品化に取り組む。アポロコットは、寝装用で西川リビングと組み、シーツやカバー、タオルケット、パジャマなど多アイテムで展開してブランド化を進める。寝装は、アポロコット加工を含めてインドネシアでの一貫生産比率を高める方針だ。

 また寝装の二次製品化を進めることで、収益性を高める。

東洋紡STC/製品対応力高める

 東洋紡STCテキスタイル事業部寝装グループの2015年3月期は、20%増収での着地を見込む。

 寝装グループは元々生地売りが主力だったが、製品売りを強化しており、今期は製品比率が金額ベースで35%まで高まり、売り上げを押し上げた。とくにキルトケットやカバー、敷パッドなど軽寝具がけん引した。素材ではクッション材の「ブレスエアー」や、防ダニ性を持つポリエステル80%・綿20%の高密度生地「アルファイン」などが堅調だった。来期は製品対応力を高めて10%の増収増益を目指す。

 生機は、紡織拠点の東洋紡テキスタイル〈マレーシア〉のあるマレーシア、ニット素材は国内の協力工場を活用。また国内から糸・わたを持ち出し、主に中国で一部紡績、織・編み、縫製まで対応する組み立ても積極的に構築している。

フジックス/羽毛の吹き出し低減

 縫い糸や刺繍糸などを製造販売するフジックス(京都市北区)は、東レと共同開発した羽毛の吹き出しを低減するミシン糸「Plume(プリュム)」を訴求する。同製品の技術は現在、両社共同で特許出願中。

 プリュムはダウンジャケット用途での採用実績があり、寝装用途にも拡販していく考えだ。

 プリュムは、見掛け繊度273デシテックスのポリエステル100%。糸構造は、縫製時の生地穴をふさぎやすく、縫い目からの羽毛吹き出しを防止する。また表面形状の凹凸が少なく、縫製時の羽毛の引っ掛かりを軽減。特殊加工により静電気による羽毛の引き上げも抑制する。

 同社の社内試験によると、50デシテックスのナイロンタフタ生地(55×50センチ)、ダウン量40㌘で羽毛の吹き出しが10個以下と、ほかのスパン糸やフィラメント糸に比べて大幅に低減している。