雨にも日差しにも負けず/晴雨兼用傘地を新提案/東レ、帝人素材採用
2015年04月30日 (木曜日)
梅雨に向けて、合繊メーカーが傘地用テキスタイルを打ち出している。東レはフルダルポリエステル織物「ハレルヤ」、帝人もポリエステルナノファイバー「ナノフロント」使い織物の傘を、通販を通じて製品展開する。キーワードは「晴雨兼用」。加工技術を活用して、撥水性だけでなく、紫外線遮へい効果や遮熱効果も加えている。
夏の厳しい暑さに対するアイテムとして日傘が注目される一方で、突然の降雨への対策も必要になっており、雨傘に求められる撥水性と日傘に必要な紫外線ブロック効果、遮へい効果を両方持つ晴雨兼用傘向けの素材の打ち出しが相次いでいる。
オーロラが2月から販売する傘には東レのハレルヤが採用された。初年度5万メートル(製品5万本分)、3年後10万メートル(10万本分)の販売を計画する。
ハレルヤは、フルダルポリエステル糸を加工、高密度に製織して遮熱効果を付与し、UVカット加工と撥水加工を両立させた。生地のソフトさ、淡色から濃色までの良好な発色性にも特徴があり、カラー展開による感性面での付加価値向上にも注力した。
東レは同じく晴雨兼用傘地素材「サマーシールド」の展開もオーロラとの協業でヒットさせており、ハレルヤの展開でさらに取り組みを深めた。
帝人が製品展開する傘の素材はナノフロントを使用した三層構造織物の裏面にポリウレタンフィルムをラミネートしたもの。カタログハウスが通販雑誌、ウェブサイトを通じて20日発売の晴雨兼用傘に採用された。
直径700ナノメートルの微細な繊維構造が、熱源となる近赤外線を高い効率で拡散反射する性質を持ち、紫外線をブロックする効果に加え、高い遮熱効果も見込めるという。ナノフロントは、防滑性を生かしたゴルフグローブや水分保持性による美容マスクなど、物性を生かした用途展開を広げているが、今後はこうした遮熱性が生きる分野への展開にも力を入れる。傘を含む同分野での最終製品群として、17年度までに売上高8億円(店頭価格ベース)を目指す。