ダイワボウHD・野上次期社長/いずれ売上高1兆円を/新中期経営計画もスタート
2015年05月11日 (月曜日)
ダイワボウホールディングスの次期社長に決まった野上義博取締役専務執行役員ダイワボウ情報システム(DIS)社長は、今後の抱負として引き続き各事業会社で収益拡大を進めるとの考えを示した。今期から新中期経営計画もスタート。前中計の基本方針を継承しながら、経営指標の向上に取り組む。時期の明言は避けたものの「いずれは売上高1兆円を目指す」との考えも明らかにした。
同社は今期から2018年3月期を最終年度とする新3カ年中期経営計画「イノベーション21」第二次計画をスタートさせた。前中計と同じく(1)成長が見込める市場、地域での事業拡大(2)顧客価値創造型ビジネスへの進化(3)国際マーケットにおけるコーポレートブランドの価値向上――を基本方針に据える。
野上次期社長は、引き続きDIS社長を兼務することから「ITインフラ流通事業は当面、売り上げ規模拡大と同時に利益率重視の姿勢で臨む」との方針を示す。繊維事業と産業機械事業に関しては「これまで通り各事業の責任者を中心に計画を実行する」との考えだ。
新中計では経営指標の向上も重視。3年後にはROE(自己資本利益率)10%以上、D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)0・6以下を目指す。その上で「いずれ売上高1兆円を目指す」との考えだ。
<純利益は過去最高に>
ダイワボウホールディングスの2015年3月期連結決算は売上高5661億円(前期比10・8%減)、営業利益82億円(24・8%減)、経常利益79億円(24・6%減)、純利益48億円(7・9%増)だった。主力のITインフラ流通事業で前期あった特需の反動により減収となったが、純利益は過去最高だった。このため期末配当を当初予想から1円増配し、1株当たり6円とする。
化合繊・機能資材事業は売上高402億円(3・1%増)、営業利益16億円(25・9%増)だった。化合繊事業は合繊部門が衛材用途を中心に好調に推移。レーヨンも不織布原綿の売り上げ拡大と米国向け防炎素材の収益が改善した。機能資材事業は樹脂加工部門が震災復興需要で堅調だった。
衣料品・生活資材事業は売上高217億円(2・6%減)、営業損失2億8900万円(前期は4億5100万円の損失)だった。インナー製品はコモディティー品からの撤退を進めた。スポーツは「フィラ」ブランド製品が好調だった。テキスタイル事業は寝装、ホビー用途ともに苦戦し、ブラジルの紡績も市況低迷で苦戦だった。
今期は連結売上高5900億円(4・2%増)、営業利益90億円(9・1%増)、経常利益85億円(6・7%増)、純利益52億円(6・4%増)を見込む。