繊維ニュース

特集 特定芳香族アミン/特定芳香族アミンが規制化へ

2015年05月22日 (金曜日)

厚生労働省は4月8日、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」第2条第2項の物質を定める政令の一部を改正する政令を公布した。アゾ化合物(特定芳香族アミン)24種を加えたもので、2016年4月1日から施行する。この24種の特定芳香族アミンを規定量(30㎎/㎏)以上使用した繊維製品は、日本国内で販売できなくなり、違反した場合は罰則が適用される。今回の厚労省の法制化で特定芳香族アミンへの対応がより求められることになった。業界、検査機関の対応を紹介する。

これまでの経緯

 経済産業省が日本繊維産業連盟に対し、「繊維産業をめぐる最近の懸案事項について」と、特定芳香族アミンへの対応を求めたのは2008年7月である。繊維製品ではホルムアルデヒド規制の厳しい日本だが、すでに欧州、中国などで規制しているアゾ色素由来の特定芳香族アミンについては、まだ規制の対象外であった。ちなみに、対象となるアゾ染料は全アゾ染料の約3%と言われる。

 これを受けて、繊産連は日本で流通する繊維製品の安全性の取り組みを構築するため、同年9月に「繊維産業における環境・安全問題検討会」を組織した。参加団体21団体、協力団体1団体、オブザーバーとして経産省、製品評価技術基盤機構、化学物質評価研究機構が参加した。

 検討会は6回、そのほか16回のワーキンググループを開いた。検討の結果、09年12月、繊産連は「繊維製品に係る有害物質の不使用に関する自主基準」を策定した。10年1月には繊産連傘下団体に向けて説明会も開催。そして、12年3月にこの自主基準を一般公開し、業界ごとに具体的対応が本格化した。

業界の対応は

 繊産連傘下の団体は機敏に対応した。日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)は繊産連の自主基準策定以降、2010年2月から特定芳香族アミンに関するセミナーを毎年開催している。今年もJAFIC、関西ファッション連合、日本織物中央卸商業組合連合会などが協力して2月18日に都内で「JIS改定セミナー」を開き、234人が参加した。同セミナーのテーマの一つが特定芳香族アミンに関する厚労省の法制化についてだった。同セミナーは大阪、福岡でも開催。どこも満席となったため、追加セミナーが設けられ、すでに全国で1700人を超える受講者を集めた。同セミナーは今も続く。6月3日、5日に東京都中央区のオンワードパークビルディング2階ホールで、6月23日には関西ファッション連合が名古屋市の愛知県産業労働センター ウインクあいち901で開催予定。その後も岡山開催を検討しており、業界での周知徹底を図る。

 現状の業界対応は「不使用宣言書」が中心だ。仕入先の不使用宣言のほか、エコテックス規格100の認証、検査機関の分析結果、さらに中国のホワイトリストによる担保も挙げられる。

3拠点で化学試験対応/ボーケン

 「具体的な話が出てきた」。ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、来年4月の厚労省の特定芳香族アミンの規制を前に、国内大手量販店なども芳香族アミン24種を規制対象とする基準作りを進めているとし、試験依頼が増えてきたようだ。

 ボーケンの芳香族アミン分析試験場は、東京化学分析センター、大阪化学分析センターに加え、中国の上海浦西試験センターでもガスクロマトグラフィー3台、高速液体クロマトグラフィー1台を設置する体制である。とくに上海では規制に先立ち試験能力の拡充に取り組んでおり、短納期対応が可能だ。北京のCTTC、上海のSGSやCIQなどの提携機関の協力で、さらなる大量試験対応も可能である。

 東京、大阪事業所はJNLA(試験事業者登録制度)の特定芳香族アミンの分析試験場としてこの3月末に登録された。上海もすでにCNASを取得している。

 また、この3拠点ともオランダのIISが主催する手合せ試験でも“エクセレント”の評価を得ている。IISは燃料、石油化学品、消費者製品などに関して世界規模で技能試験(試験室間の手合せ)を取りまとめしている世界的権威のある第三者機関である。さらに、ボーケンはホワイトリスト管理システム認定検査機関として、高水準の有害化学物質検査体制を上海で構築している。

カケン/東西、上海で試験対応

 カケンテストセンター(カケン)は特定芳香族アミンの分析試験を行う。東京事業所分析テストラボにガスクロマトグラフィー(以下ガスクロ)4台、高速液体クロマトグラフィー3台を設置。うちガスクロの2台は特定芳香族アミン専用である。

 また、大阪事業所分析テストラボはガスクロ3台を置き、半分が特定芳香族アミン専用。高速液体クロマトグラフィーも2台有する。海外では中国の上海科懇検験服務に各1台ずつ設置する。「国内外を問わず、依頼がキャパシティを越えたときは、提携・外注先に依頼する」体制である。

 4月に厚労省が特定芳香族アミンの規制を公布してから、「今までとどう違うのか」などの問い合せが増えていたが、ここに来て相談も落ち着いてきたようだ。しかし、関心がなくなったかといえば、そうではない。

 カケンは4月以降、「重要改正3案件セミナー」(新ケアラベル、子供服の安全性、特定芳香族アミン)を全国各地で開催しているが、いずれも満席である。また、「商社やアパレルからの依頼で、個別の社内セミナーにも対応し、講師を派遣」している。

 「EU、中国、韓国ではすでに法規制されており、アジア諸国にも規制化の動きが出始めている。日本でも大手小売業は対応を開始している」状況。衣に関する安心・安全の高まりは変わらない。