ニッポンの技、ここにあり/テクテキスタイル見聞録(3)/帝人、欧州で新メタ初披露
2015年05月28日 (木曜日)
「テクテキスタイル」には高機能繊維メーカーが数多く出展する。日系企業では帝人がパラ系アラミド繊維「トワロン」、トワロンと製法が異なるパラ系アラミド繊維「テクノーラ」、メタ系アラミド繊維「コーネックス」、高強力ポリエチレンテープ「エンデュマックス」、東洋紡はPBO繊維「ザイロン」、高強力ポリエチレン繊維「ツヌーガ」、クラレがPEI繊維「クラキッス」と、各種高機能繊維を製造販売している。
その高機能繊維の世界を揺るがした大問題がようやく決着を見た。同展開幕4日前の4月30日、米国・デュポンと韓国・コーロンとのパラ系アラミド繊維における訴訟が和解したからだ。
2009年、デュポンがパラ系アラミド繊維「ケブラー」の機密情報を不正使用したとして、韓国コーロンを訴えたこの訴訟。11年の一審判決では9億2000万ドルという巨額の損害賠償額支払い判決を下され、その後コーロンの上訴申し立てが棄却され、コーロンにアラミド繊維製造を20年間停止する差し止め命令なども下りていたが、訴訟は継続していた。それが最終的に2億7500万ドルの損害賠償金を支払うことで合意したという。同展にはコーロンも出展していただけに、会場でも話題になっていた。
そのコーロンブースの近くに陣取ったのが、デュポンと並ぶパラ系アラミド繊維大手、帝人だ。同社の目玉はやはり新タイプのメタ系アラミド繊維「テイジンコーネックス ネオ」。15年央に年産2200㌧規模でタイ生産を開始する同繊維は、難燃性・耐熱性に加えて後染めが可能という特徴がある。さらに特殊な紡糸法による新プロセスを採用。化学物質排出やエネルギー消費を削減することができる。実はこれも欧州では大きなポイントになる。
欧州の化学物質規制であるREACHでは溶剤が0・1%以上残っている場合、インフォームが必要になるが、テイジンコーネックス ネオは0・1%以下のため不要。メタ系アラミド繊維では初めてだという。高機能繊維事業本部の宮野貴也セーフティーソリューション部長は「欧州ではテクテキスタイルが初披露になるが、来場者からは好反応」と手応えを示す。
毎回4・1ホールの入り口近くに日系企業では最大ブースを構える同社。今回は従来とは少し仕様が異なっていた。