特集 スクールユニフォーム/制服文化支えるモノ作り

2015年05月29日 (金曜日)

 現在、衣料品の輸入比率は96%を超え、ほとんどが海外製だ。一方で、制服は入学シーズンに供給が集中するため、どうしても日本製でなければ対応しきれないことが多く、日本製の比率は80%以上あると言われる。安定した供給こそ、学生服アパレルの強み。多様化する学校のニーズに対応するためにも、積極的な設備投資が続く。

積極的な設備投資続く/国産比率高め、安定供給

 学生服アパレルは、新工場として昨年、トンボが「トンボ倉吉工房」(鳥取県倉吉市)を7月から、菅公学生服が「菅公アパレル大山工場」(同大山町)を8月から相次いで稼働した。

 トンボ倉吉工房は、現在従業員は40人ほどで、ブレザーの生産を中心に今年4万点の生産を計画、2016年には6万点の生産を視野に入れる。トンボでは、体育衣料の生産が中心の美咲工場(岡山県美咲町)にも、昇華プリントの設備投資についても検討。発色性や色彩に優れ、高いデザイン性が可能な昇華プリントの需要拡大を見込み、「ビクトリー」や「ヨネックス」ブランドで昇華プリントを使った商品開発を強化する。

 菅公学生服の大山工場は、従業員が70人から100人へと増え、2年目以降は詰め襟服を中心に9万点の生産量を計画する。現在、国内工場はフル稼働の状況で、尾﨑茂社長は「新工場の立ち上げも考えなくてはならない」と、次の投資も視野に入れる。

 スクールシャツなど学生服アパレルのOEMを手掛ける山下産業(岡山市)は、12年からニット製品の生産を中心としたフロンティアファクトリー(鳥取市)を稼働している。昨年11月に裁断センターを設け、CAMを1台から2台に増設。従業員は現在90人で、クールビズなどの影響によって学校でニットシャツなどの着用機会が増えていることから、さらに人員が増えれば生産ラインを拡大し、増産体制を強める。

来春、値上げが本格化/制服価値、改めて発信を

 学生服アパレルは、素材メーカーからの生地の値上げ圧迫を受け、すでに値上げを進めていた店頭商品だけでなく、学校指定の制服についても来春から値上げに乗り出す。

 トンボの近藤知之社長は、「生地だけでなくボタンなど付属品も上がっており、もはや(生産コストを自社で)吸収しきれない」と話す。学校、販売代理店と連携しながら「保護者へ値上げに対する理解を深める」考えだ。

 明石被服興業の河合秀文社長も「原材料の値段が上がってきたから制服を値上げするというだけではなく、人材確保などモノ作りそのものが厳しくなってきた」と述べる。「モノ作りの面でレベルアップを図る」ためにも、値上げの必要性を訴える。

 実際、制服に使われる梳毛糸の相場は現在1キロ2000円弱(48双糸)で、2008年のリーマン・ショック前に比べて約500円も高くなっている。円安に加え、原毛そのものも世界的に減産基調にあり、今後も「相場が上がることがあっても下がることはない」(アパレル関係者)との見方が強い。

 ただ、制服は学校全体で生徒が同じものを着用し、各家庭の経済事情が違っても買ってもらうものだけに、値上げによって制服不要論が強まる可能性がある。アパレルとしては、単に値上げするだけではなく、制服を着用していることによる地域での安心・安全や、私服と比べたときのトータル的なコストメリットなど、制服の価値をエンドユーザーへより分かりやすく発信していかなければならない。素材メーカーを含めた業界全体で、あらゆる角度から制服の必要性を再確認しながら、値上げへの理解につなげていくことが求められている。

菅公学生服/“岡山のニューリーダー”育てよ/産学連携でキャリア教育

 菅公学生服は、昨年から今年3月までの1年間、岡山県立岡山南高校と提携し、「岡山南高校服飾デザイン科産学連携実学体験プロジェクト(MPS)」を推進してきた。同プロジェクトは同校の服飾デザイン科2年生(現3年生)が同社の実際の活動を体験し、生徒たちのキャリアアップや、産業の活性化につなげようというもので、実際に生徒たちが企画した体操服を製品化し、同社の総合展で披露するなど実践的な取り組みを進めてきた。

 今年3月4日に、生徒代表によるMPSの最終報告が行われ、同社へのインターンシップの際に生徒が企画した「タータンチェックウール生地」の贈呈、次年度へのプロジェクト実践者である服飾デザイン科1年生(現2年生)への引き継ぎ式が開かれた。生徒代表を務めた久岡春菜さんは、MPSでの経験を通じ「社会で活躍できる人材になりたい」と抱負を述べた。

 次年度では赤磐市立磐梨中学校の体操服を企画・デザインする予定で、今月23日に、磐梨中学校で「磐梨イノベーションプラン」を発表、来春の着用を目指す。菅公学生服の尾﨑社長は、生徒たちにとって「これらの経験は将来の夢の実現にきっと役立つはず」と述べ、今後もそういった取り組みを広げる。