ニッポンの技、ここにあり/テクテキスタイル見聞録(7)/熱融着繊維へも関心
2015年06月03日 (水曜日)
3領域に分けて幅広い素材を出品した旭化成せんいと手法は異なるが、東レもあらゆる産業資材用繊維を持ち込んだ。総合的にアピールすることで、新用途開拓につなげるのが狙いだ。
今回、注目されたのは初出品となるポリエステル短繊維。芯鞘構造の熱融着、伸縮性を付与するサイド・バイ・サイドを訴求した。萩原俊彦産業資材事業部長は「不織布メーカーの関心も高く。チャンスがある」と手応えを得た。
日本のポリエステル短繊維業界は昨年、ユニチカ、帝人の構造改革が相次いで発表された。とくに熱融着繊維、サイド・バイ・サイド最大手であるユニチカの規模縮小により、東レのポリエステル短繊維への注目度は急速に高まった。
それに連動するかのようにウンジン・ケミカル(現・トーレ・ケミカル・コリア=TCK)のグループ会社化とTCKでの熱融着繊維の増強など次々と攻めの戦略を打ち出している。テクテキスタイルへの出品もその一環とも言える。
同展ではマイクロファイバー部門も初参加。同じく新顧客開拓が狙いで、カーシート地用「ウルトラスエード」、産業資材用「エクセーヌ」を出品。カーシート地では部分バイオポリエステル長繊維100%によるカーシート地も展示した。
常連組のクラレは海外市場が主力の高強力ポリアリレート繊維「ベクトラン」やビニロン繊維「クラロン」に加え、PEI繊維「クラキッス」、クラレトレーディングの導電繊維「クラカーボ」をブースに配した。同社の場合は商談重視のため、展示品は絞り込んでいる。
目新しいのはPEI繊維のブランド名、クラキッス(KURAKISSS)を初披露したことだろう。同繊維は耐熱性、難燃性、低発煙性、低吸水性、熱可塑性のほか、易染色性、細繊度化などの特徴を持つ。
航空機用内装材中心に開拓が進んでおり、PEI原料によるメルトブロー不織布も開発しているという。
絞り込んだ展示はカネカも同じ。モダクリル繊維「カネカロン」「プロテックス」をメーンに据えた。2素材は商談重視ながら、新規顧客を狙った素材も出品した。それがコラーゲン繊維だ。