我が社の環境ビジネス

2015年06月09日 (火曜日)

旭化成せんい/夏清涼、冬保温で貢献/ベンベルグ使い肌着で

 旭化成せんいのキュプラ繊維「ベンベルグ」は、コットンの種の周りの産毛「コットンリンター」を原料に使用する。ベンベルグは、不純物をそこから取り除いたピュアな植物繊維素を糸・わたにした「天然繊維が持つ優しさと化学繊維が持つ機能性を兼ね備えた」セルロース繊維だ。

 通常は使わないコットンリンターを原料とし、土に埋めると分解する生分解性を持つベンベルグはエコロジー素材の一つでもあり、製造工程では繊維くずを発電燃料として再利用するなどリサイクルしており、ほかの廃棄物を含めて、現在ではほぼ100%のリサイクル率を達成する。

 素材特性でもエコロジーに貢献する。繊維断面が真円に近く、太さムラが少ないため、摩擦が小さく肌への刺激が少ないほか、湿気を吸い取り、空気中に吐き出すためべたつきやムレを抑制。冬も湿気を吸収する際に発生する熱エネルギーを逃さない工夫を施すことで暖かさもある。静電気の発生も少ないため、まとわりつきやパチパチのトラブルも抑える。

 この特徴を生かして、夏の清涼インナー、冬の保温インナーの素材として活躍しており、夏の冷房温度を上げ、冬の暖房温度を下げることにも寄与する。

 ベンベルグだけではない。同社の人工スエード「ラムース」もエコ素材。ラムースはケミカルリサイクルのポリエステルを原料とし、水系ポリウレタンを使用するからだ。こうしたエコ素材としての特徴も評価され、国内外のカーシート地用で販売量を拡大している。また、各種不織布を活用したフィルター製品も地球環境に貢献する。

三菱レイヨン/ハイブリッド炭素繊維展開/自動車向け供給で環境対応

 三菱レイヨンが展開する炭素繊維事業は、三菱ケミカルホールディングスの重点方針のなかでも中核分野だ。同社は2016年度からの次期中期経営計画(16~20年度)の課題としてR&D体制の改革を打ち出しているが、炭素繊維事業で先行して具体的な施策を実行した。

 三菱レイヨンは今期、三菱樹脂のピッチ系炭素繊維事業を統合した。三菱樹脂は高弾性ピッチ系炭素繊維の生産能力で世界1位。この知見を三菱レイヨンが展開するPAN系に応用する形で提案力強化につなげる。三菱樹脂が保有する坂出工場のピッチ系炭素繊維拠点も今期から三菱レイヨンが管轄する。ピッチ系、PAN系合わせて600億円程度の炭素繊維事業規模を、次期中計で1000億円まで拡大する構想を描く。

 とくに自動車向けを中心とした一般産業分野に力を入れる。鉄より軽く強い炭素繊維は、それを採用することで車体構造を軽量化でき、燃費が向上する。二酸化炭素の削減効果が期待できる。

 三菱レイヨンでは、PAN系にピッチ系を複合することで弾性率と軽量性を向上する炭素繊維織物の量産技術の開発に成功しており、こうした差別化素材を自動車の外板、構造部材用に展開できれば、環境保護への貢献度も高くなる。

 同社では、自動車向け炭素繊維の需要が15年の約1万㌧から20年には、欧州での燃費規制の強化などを背景に、2万5000㌧程度まで伸びると見込んでおり、このなかでメーンプレイヤーになることを目指していく。

クラレ/環境配慮型の人工皮革/ランドセルはリユース

 クラレの人工皮革「クラリーノ」。1965年の誕生以来、様々なタイプを開発してきたが、2009年に立ち上げた新技術「クラリーノ・アドバンスド・テクノロジー・システムズ」(CATS)による「ティレニーナ」は環境対応型人工皮革になる。同社はこれをグリーンクラリーノとしても打ち出している。

 CATSは製造工程を従来に比べて最短で約5分の1に短縮化。有機溶剤の使用を99%以上削減、排水量は約70%、CO2排出量で約35%減らすことができるもの。3年内のフル生産を目指している。また、環境対応に加えて天然皮革に近い風合い、滑らかなタッチ、高物性を持ち、適度な伸びとフィット感があり、型崩れしにくいフィッティング機能タイプや吸水速乾性に優れたタイプもある。

 こうしたCATSによる環境対応型人工皮革を強化する一方で、通常製法による人工皮革を使ったランドセルのリユースも行う。04年から展開する「ランドセルは海を越えて」キャンペーンだ。

 同キャンペーンは使用済みランドセルにノート、えんぴつ、クレヨンなどの文具を詰めて、物資が不足している国の一つであるアフガニスタンとモンゴルの子供たちにプレゼントする活動で、現在まで6万個以上のランドセルを贈っている。

 今年4月4日にはその旅立ち準備ボランティアイベントが横浜市で行われ、同社所属の女子スキージャンプ、高梨沙羅選手も来場し、全国から届けられた約8000個のランドセルの開梱、検品、箱詰め作業が行われた。9月ごろにアフガニスタンの子供たちの手に届く予定だ。

帝人フロンティア/「シンク・エコ」を推進/リサイクル・バイオなど

 帝人フロンティアは環境に配慮したビジネスに力を入れている。環境活動指針である「THINK ECO(シンク・エコ)」のコンセプトの下「将来世代のことを考えながら日々のビジネスにチャレンジし、地球環境に優しい企業を目指すとともに①リサイクル②バイオ由来③省エネ④オーガニック――の4テーマに関連する素材の拡販に取り組む。2015年度はテーマの拡大も検討中だ。

 同社はペットボトル再生繊維「エコペット」、ケミカルリサイクルによるポリエステル繊維「エコペットプラス」、使用済みポリエステル繊維製品の循環型リサイクルシステム「エコサークル」など、ポリエステル繊維のリサイクルについては早くから手掛けており「海外での認知度はとくに高く、現在も問い合わせは多い」と言う。リサイクルだけでなく、バイオ由来の素材にも力を入れる。原料の一部がバイオから成るポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」やポリエステル繊維「プラントペット」などだ。

 こうした環境配慮型製品の販売拡大には全社的な環境問題に対する意識を高める必要があるとして、14年度からは社内の環境研修もスタートした。社内だけではない。社外における啓発活動も行う。セミナーやイベント協賛など地道な活動を行うことで、環境配慮の重要性を訴える。

 例えば、同社は欧米のスポーツアパレルやSPAが参画するサステイナブルなアパレル連合「SAC(サステイナブル・アパレル・コアリション)」のメンバーでもある。環境影響の評価基準や自己評価の基準作りにも携わる。

東洋紡/衣料から産業資材まで/環境もカテゴリー・リーダー

 東洋紡は「環境、ライフサイエンス、高機能で社会に貢献する価値を、創り続けるカテゴリー・リーダー」を経営方針に掲げている。

 環境問題には「地球環境基本方針」のもと、環境負荷の低減、環境保全に貢献する製品の開発、地域社会における環境保全活動、生物多様性への対応を進める仕組みを整えている。

 環境保全に貢献する製品では温暖化防止、化学物質削減、省資源、廃棄物削減、その他環境改善に貢献する製品を「エコパートナーシステム」として幅広く取りそろえる。

 使用済みペットボトルから再生したポリエステル繊維「エコールクラブ」、同スパンボンド不織布「e―ボランス」、活性炭素繊維「Kフィルター」を使用した溶剤回収装置やVOC吸着濃縮・触媒燃焼装置、除塵・脱臭フィルター、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維「プロコン」によるバグフィルターなど衣料用繊維から産業資材まで様々だ。

 その一つポリエステルスパンボンド不織布(SB)を使った塩ビレザー代替「カテナ」「モデナ」も環境対応素材だ。

 ポリエステルSBに特殊コーティングを施すことで、軽くて丈夫な通気性が特徴で、自動車のトノカバーなどに使われている。モデナはカテナに比べて約20%軽量したタイプだ。

 繊維以外ではペットボトルリサイクル樹脂の使用比率を世界最高レベルの80%まで高め、厚さ12ミクロンのペットフィルム「サイクルクリーン」も注目。12年に発表したものだが、従来は厚さ18ミクロンでリサイクル樹脂の使用比率も60%までしかなかった。

ユニチカ/3DプリンターへPLA/透明感などの問題を解消

 ユニチカはポリ乳酸(PLA)によるバイオマス素材「テラマック」で、レジン、フィルム、繊維、不織布と幅広い商品を展開する。燃焼時に排出されるCO2量は各種プラスチックのなかで最も少なく、燃焼熱も石油系プラスチックの2分の1~3分の1で、燃焼時の有毒ガスも排出しないなどの特徴がある。さらに、コンポストや土中では自然分解する。

 同社はそのテラマックを用いて3Dプリンター用のフィラメント(熱溶解積層方式向け)を昨年開発した。同フィラメントは市販されているものに比べると、透明性に優れ、シャープな造形が可能という。

 同社によると、3Dプリンターには熱溶解積層、光造形、粉末固着、粉末焼結、インクジェット、切削加工など様々な方式がある。国内では熱溶解積層方式が主流で、そのフィラメントにはPLAとABS樹脂が主に使われるが、市販されるPLAは透明ではない、折れやすいなどの問題があった。

 同社はこの問題を解消し、透明感があり、折れにくく、シャープな仕上がりになる3Dプリンター用フィラメントを開発した。透明感を得るため、純度が高く、適切な重合度を保有するPLAを使用。折れにくく、シャープな仕上がりを得るために溶融紡糸技術を駆使しフィラメントへの配合精度を高めた。顔料による原着糸も生産可能だ。

 現在、国内・海外メーカー数社とモニターで評価中。2016年度には年間10㌧の販売量を目指す。

 同時にポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などPLAと他ポリマーのアロイタイプの開発も進めていく。

ダイワボウレーヨン/レーヨンで環境・快適/様々な機能性実現の実績

 今や日本でも数少なくなったレーヨン短繊維専業メーカーであるダイワボウレーヨン。環境に優しい繊維とされるレーヨンをベースに、様々な機能性付与で環境だけでなく消費者の快適な暮らしに貢献する素材を供給している。

 レーヨンは、木材パルプを原料とし、生分解性を有する天然由来化学繊維として環境に優しい素材だとされる。しかし、レーヨンの製造過程の化学処理は、強アルカリや強酸溶液を使用することから、環境負荷が高いという側面もある。

 このためレーヨン製造には、充実した環境処理施設が不可欠だ。ダイワボウレーヨンも例外ではなく、製造拠点である益田工場(島根県益田市)には製造設備を上回る規模の環境処理設備を保有する。

 近年、消費者の間では製造工程の中身にまで一歩踏み込んで環境負荷などを注視する傾向が強まる。

 ダイワボウレーヨンでは、先進国ならではのレーヨン企業として環境対応と両立したレーヨンの生産と開発に取り組んできた。

 こうした取り組みから生まれたのが、様々な機能レーヨンだ。機能剤をレーヨンに練り込む技術を確立していることで、保温や冷感、抗菌防臭など様々な機能レーヨンを世に出してきた。

 また、クールビズやウオームビズに向けた機能性衣料では、インナーからアウター、レッグなど様々な用途においてレーヨンは欠かせない素材となった。レーヨンの普及においてダイワボウレーヨンはその立役者といえるだろう。

 本当の意味で環境に優しい繊維としてのレーヨンを通じて、環境だけでなく消費者の快適な暮らしに貢献する。

レンチング/シューズに「テンセル」/すべてのパーツ適用めざす

 衣料はもとより、寝具などの住関連、さらには資材に至るまで、あらゆる分野、シーンで採用されているレンチングの「テンセル」。木材パルプから作られるセルロース繊維であり、製造に用いられる溶剤は99%以上回収し再利用されるため、環境への影響が最小限に抑えられる。 さらに、使用後の製品は生分解し、再び木々の成長に貢献するという循環型の環境保全システムを実現している。

 あらゆるボタニック(植物)由来のソリューションを提供している同社はさきに独・フランクフルトで開催された世界最大の産業用繊維・不織布の国際見本市「テクテキスタイル」で「テンセル」を靴の様々な部分に使用したシューズコンセプトを紹介して、注目を浴びた。

 紹介したシューズ関連商品への取り組みはまず、靴ひもの開発からスタート。これは「テンセル」使いで100%生分解可能な商品だ。その後、同社がイニシアチブを取りながら、関連メーカーの要望を取り込む形で、より多くのシューズパーツの開発に取り組み、現在では様々な商品へ適用されるようになってきている。目下、すべてのパーツに「テンセル」を使用した靴を市場に発表することを目標に、開発が進められている。

 同社は「革新的な靴メーカーは環境に優しく、サステイナブルな原料を常に探し求めている。ファイバー繊維からパウダー形状まで幅広く展開しているテンセルは靴を製造するうえで様々な使用形式に対応することができる。靴のインナー、ソール、さらには外側の素材、靴ひもから縫糸まで、あらゆる個所に使用できる」と意欲的だ。

オーミケンシ/進化する「クラビオン」/草本・非木材原料にも挑戦

 オーミケンシは、レーヨンを「エコロジー・クリーン・ファイバー(ECF)」と位置づけ、環境に配慮した機能レーヨンを様々に打ち出してきた。その原点とも言えるのが抗菌防臭・消臭機能を持つキチン・キトサン繊維「クラビオン」だ。今年、クラビオンは開発から20周年を迎えるなど根強い人気を維持している。さらに「ハイブリッドクラビオン」へと進化した。

 ハイブリッドクラビオンは、クラビオンに調温機能レーヨン「97・6F」や赤外線発熱レーヨン「ソーラタッチ」、キシリトール練り込み涼感レーヨン「リフレール」などを融合させたもの。キチン・ビスコース溶液とほかの機能ビスコース溶液を融合して紡糸する方式のため、通常の混紡・交織交編のようにレーヨン混率を上げずに多機能化することが可能。すでに衣料や寝装で販売が始まった。

 また、ユニークな商品として草本原料レーヨン「リ・テラ」がある。ケナフを原料としたリ・テラを取引先企業が海外展示会で披露したところ海外企業から多くの引き合いが寄せられるなど徐々に認知度が高まってきた。また、リ・テラで蓄積した非木材原料のレーヨン化技術で実現したのが折り鶴レーヨンだ。

 広島の平和記念公園には毎年、約10㌧もの折り鶴が届けられる。この折り鶴をパルプ化し、レーヨンとして再生したのが折り鶴レーヨンだ。平和への思いを生かした形でリサイクルに取り組む。

 5月から10月末まで開催されるミラノ万博にも協賛し、日本館で使うキッズイベント用スタンプカードリボンに折り鶴再生レーヨンが採用された。環境だけでなく平和への思いもレーヨンを通じて世界に発信している。