伊藤忠、日鉄住金、MFL/差別化綿使い開発加速
2015年06月29日 (月曜日)
16春夏向け製品OEM提案で、差別化綿を使った素材開発が加速している。伊藤忠商事は15春夏から扱うペルー産希少超長綿を国内産地企業との協業を軸に素材バリエーションを拡充する。日鉄住金物産はカットソー用で超長綿の調達ルートを海外に広げ、アッパーブランドでの横串展開を狙う。丸紅ファッションリンク(MFL)はグループ会社の丸紅ファッションプラニング(MFP)の素材開発機能と連動して「ギザ」綿を展開。ナイロンを複合した国産素材として展開する。
<16春夏OEMで各提案>
春夏向け綿素材は機軸となる。それだけにコストを抑えるサプライチェーンが求められてきたが、3社の取り組みは逆を行く。明確な差別化要素を持った素材を使うことで、顧客ブランドの差別化ニーズの取り込みを狙う。
伊藤忠は15春夏から、ペルー産超長綿を素材ブランド「ペルヴィアンピマコットン」として、国内向けに独占的に展開する。年間生産量が超長綿全体の約0・02%(5000トン程度)と希少性が高く、風合いが柔らかい。国内の有力産地企業と協業した素材開発も差別化要素とし、セレクトショップ向けを中心に多く採用された。100トンを見込んでいた取り扱い数量が200トンと想定を上回り、好調だった。
この実績を基に16春夏は商材を拡充する。100%使いに加え、ナイロンや麻など異素材複合に力を入れるほか、特殊編み機の活用、撚糸加工など開発の協業先を国内中心に増やした。今後に向けても長く売れる素材にする考えだ。
日鉄住金物産もカットソーの提案で16春夏向けから綿素材の付加価値向上を目的に調達背景を広げる。米国から調達する繊維長35ミリ以上の「スーピマ」綿は1番摘みをブレンドしたもの。光沢感としっとりとした柔らかさを特徴とする。イタリアからも現地有力メーカーによるギザ綿の特殊紡績強撚糸を輸入するほか、エジプトの高級細番手用混綿、ぬめり感に特徴を持ったインドのスビン綿を、タイと日本国内の取り組み先で生地化するなどで活用する。
風合いでの差別化要素を訴求するため、シンプルなアイテムを婦人向けに提案。顧客のアッパーブランドで複数商品への展開を検討しており、戦略素材と位置づける。
MFLでは、MFPの素材開発部署が開発した高品位素材「カフラー」を活用する。繊維長35ミリ以上の最高級グレードギザ綿と欧州背景のナイロン66糸を交織したもので、独特のハリ・コシ感やUVカット性、接触冷感など機能も特徴として訴求。
西脇産地と協業した国産素材として展開し、MFLが得意とする百貨店アパレルのシャツなど布帛製品で取り組みを深める。