東洋紡STC総合素材展/吸湿ポリエステル訴求/アクリレート特殊紡績糸も
2015年07月02日 (木曜日)
東洋紡STCは1日、「Tasty(テイスティ)総合素材展」を東洋紡ビル12階(大阪市北区)で開催し、東洋紡富山事業所での紡織加工技術を生かした新素材を提案している。会期は3日まで。同展は原糸、インナー、寝装、シャツ、スポーツの各分野で新素材、重点素材を訴求するとともに共通素材として吸湿ポリエステル短繊維を使用した「グレファージュ」、結束紡績技術がベースの「セレス」ファミリーを新たに打ち出した。
参考出品としたグレファージュは、綿の7%を上回る8%の吸湿性を持つ改質ポリエステル短繊維を使用する。ポリエステルが有する吸水速乾性を維持しながら、ムレ感などを防ぐ。また、イソ吉草酸、アンモニア、酢酸などの消臭性にも優れる。さらに吸湿性が高いことから発熱性もある。現在はまだ量産技術は確立できていないものの、同展を通じて需要家との糸からの共同開発に取り組む。
一方、結束紡績技術をベースにした特殊紡績糸「セレス」ではこれまでのポリエステル使いだけでなく、コットン、レーヨン、アクリル、アクリレート系繊維など素材バリエーションを広げた。とくに紡績難度の高いアクリレート系繊維使いは抗ピル性が高まることで、染まらないアクリレート系繊維を裏側に配した際、洗濯後の表生地への吹き出しも大幅に改善した。
そのほか、インナー分野向けは精紡交撚糸技術を使い、かさ高性を持ちながら毛羽立ちを抑えた綿素材「エアロビ」、エアロビにバルキーアクリル短繊維使いを断熱・保温性を与えた「エアロバル」、300%の伸び率がありながらストレッチバック性に優れたトリコット「のび子」、高捲縮糸による高密度ニットのナイロン長繊維版「アクセンシャル―N」などを新たに開発した。
寝装分野はクッション材「ブレスエアー」「エアークロス」、粒わた「グレンゲラン」に、特殊不織布と編み地の「スイートタッチ」を複合した各種中わたを「TM―Xコンポジット中材」として打ち出す。
原糸は酸化チタンを高配合した細繊度(1)Y型断面ポリエステル短繊維による「トライクール」や「マスターシード」「マハラニ」「紫鷹―G」など差別化綿糸、さらに今年事業化45周年となる長短複合技術「マナード」を生かした毛番130番の軽量毛織物などを参考出品。シャツ分野では「アルザス」、マスターシード、接触冷感素材「クールダイス」、トライクールなどによる生地を提案した。