雑貨OEM機能が進む/各商社 新たな取り組み

2015年07月28日 (火曜日)

 商社の製品OEMでは、雑貨まで商材を広げる動きが浸透しているが、16春夏向け展示会では、その流れが加速している。三菱商事ファッション(MCF)はアイウエアの提案に着手。伊藤忠商事も部署横断でバッグOEMを開始する。田村駒も自主ブランドによるバッグの提案を本格化する。

<バッグやアイウエアも>

 衣料だけでなく、周辺雑貨も店頭に並べる店舗が増加し、売上高の3割を占めるなど無視できない存在となっている。これを背景に生産背景を整備し、雑貨まで取り扱うケースが商社OEMの間でこの1~2年の間に頻出した。従来は、ストール、マフラーなど繊維製品中心だったものが、16春夏向けの提案では、その商材が広がりを見せている。

 「伊藤忠、カバン始めました」。同社は先日開いた製品OEM展でこうしたパネルを掲げた。披露したのは本革使いから合成皮革使いまで、中国・広東省を生産背景としたレディース向け50型。製品事業を担当するファッションアパレル第二部が部を横断して手掛けるため、セレクトショップ系、百貨店、量販店・専門店の全方位を対象に、ODM(相手先ブランドによる企画・生産)の形態で本格化する。商材、生産背景の拡充も視野に入れて取り組む。

 田村駒もバッグを切り口に雑貨ODMを強化する方針。自主ブランド「Motte(モッテ)」の展開を本格化する。モッテはウエットスーツ用生地を使うバッグ・小物のブランド。適度な伸縮性を持つ機能面での特徴のほか、フレキシブルなデザイン性も訴求ポイントとする。ベースとなる生地に衣料用生地を熱圧着するため、表地の素材や柄を自由に組み合わせることができる拡張性をアピールしていく。

 自主ブランドとしての提案を念頭に、顧客ブランドとのダブルネーム企画も視野に入れ、セレクトショップ販路での採用から、専門店販路などへ裾野を広げていく。

 MCFは、バッグやストールなど“ミシンの上に乗るもの”を対象に注力してきた雑貨ビジネスで、取り扱う商材をさらに広げる提案を総合展で行った。新たに着手するのはアイウエアのODM。店頭価格1000~5000円の価格帯でサングラス、だて眼鏡など幅広く供給する。総合展にはシューズOEMの関係会社であるライフギアコーポレーションもブースを構え、MCFの独自機能加工群を使用した商材や中国やバングラデシュを調達背景とした得意の紳士革靴を披露。雑貨での対応力を強化している。