繊維ニュース

安心安全に取り組む検査機関/化学分析、機能性試験の対象広がる

2015年08月20日 (木曜日)

 天候異変、高齢社会、有害物質規制など安心安全への取り組みは、我々の日常生活に欠かせない。安全であることの評価基準を設け、そのための試験方法を確立するのも検査機関の重要な役割。安心安全に向けた検査機関の活動を紹介する。

カケン/機能試験の汎用性高める

 カケンテストセンター(カケン)は化学防護服、防火防護服などの試験を行っている。特殊作業が中心だが、汎用性をより高め、安心安全商品の対象を広げていく考えだ。

 その一つが、耐滑性。カケンは靴底の耐滑試験をすでに実施しているが、「滑るだけでなく、つまずくといった要素もある」と指摘。作業靴だけでなく、一般のスニーカーや靴下も対象となる。対象物にも耐滑試験は必要だ。高齢社会では、フロアマットや畳にも滑らない、つまずかないといった機能も求められる。

 消防隊員の防護服の延長には難燃服、耐熱服もある。難燃は燃え広がらない、耐熱は熱の伝達を抑制する機能である。また、「防護服というカテゴリーではなく、防護機能というキーワードで発想すれば、生活用品にも機能性が必要」。例えば、鍋つかみや鍋敷き。その耐熱性を評価する基準値や試験方法を確立し、提案していくことも検査機関の役割と言える。

 カケンの安心安全機能試験には、紫外線遮へい性、帯電防止、表面フラッシュ、電磁波シールド、発塵性、花粉捕集(ろ過)効率、人工血液・ウイルスバリア性、バクテリアバリア性、液体化学薬品流下浸透性、ふく射熱伝達性などがある。こうしたノウハウをどう生かすか注目される。

ボーケン/FMVSS燃焼性試験も

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は衣料品の燃焼性試験を行うが、岡山事業所では新たにFMVSS(米国自動車安全基準)試験機を導入した。この試験は産業資材の自動車や航空機の内装材に用いられる材料を対象にし、水平状態での燃焼速度を測定するもの。同事業所は7月10日、「西部事業所」を移転し岡山事業所に改名、業務を開始した。試験設備を拡充するとともに、FMVSS燃焼性試験機以外でもスーパーキセノンウエザーメーターなど、自動車の内装材関連の試験機を導入して産業資材分野などの顧客拡大を目指す。また、世界的検査機関SGSと提携している広州、香港などの試験センターでは、欧米向けのインテリア(ソファ、マットレスなど)の燃焼性試験にも対応する。

 ボーケンは機能性試験センターを東京、大阪、上海に設置。抗菌性試験では上海に続き、香港、バンコクがSEK指定試験所となった。

 特定芳香族アミン類の試験も東京、大阪(両事業所はJNLAの特定芳香族アミン類の分析試験所として登録)、上海の3拠点に加え、SGSと提携する広州、香港、杭州、台湾、アセアン拠点でも試験の実施が可能である。鉛など有害物質分析にも取り組む。また、食品衛生法関係試験、SGマーク認証試験(49品目)のほか、電気安全環境研究所とは業務協力も行う。

ニッセンケン/高視認性安全服に対応

 日本工業標準調査会は「JIS T 8127」(高視認性安全服)原案を意見受付公告に掲載する。早ければ10月中旬に発行される見通しだ。ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)の東京事業所立石ラボは、この高視認性安全服の試験に対応する。

 欧州ではISO20471(高視認性安全服)が2013年3月に発行され、路上作業者などの高視認性安全服の着用が法律で義務付けられている。日本でも高視認性安全服のJIS化に向けて昨年から原案作成委員会がスタートし、JIS T 8127原案は現在、パブリックコメントを求める段階に入り、高視認性安全服がいよいよビジネス化される。夜間の屋外作業者の安全性を支援するだけではない。これまで、道路作業にかかわる作業服、防護服メーカーが先行したが、スポーツメーカーや学童服関連、高齢者の外出着にも需要は広がっていくとみられる。

 ニッセンケンの立石ラボでは暗室(15メートル以上)を作り、ゴニオメーター、発光器・受光器を設置して蛍光素材、再帰反射材の試験を2012年10月から開始。高視認性安全服の要求事項には、色、デザイン、物性のほか必要最小面積もあり、CADで最小面積測定も行う。また、雨天時の性能を測るための試験設備レインフォールを日本で初めて導入。降雨による耐性試験も可能。

QTEC/防炎ラベル業務も遂行

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は防護服に関する試験の充実を図る。神戸試験センターでは今年から、人工血液バリア性試験(JIS T 8060)とウイルスバリア性試験(JIS T 8061)を開始した。神戸試験センターでは抗ウイルス性、抗菌性、抗カビ性なども試験する。

 QTECは消防庁施行規則に基づく登録認証確認機関として、防炎ラベル表示事業者に対する確認業務も行う。製品ロットごとに防炎性能確認試験を行い、製品に表示する防炎ラベル裏面にロットごとの防炎性能確認試験の番号を記載。防炎性能を担保するとともに、万一不都合が生じたときも、トレーサビリティーが可能。また、防炎ラベルを表示する事業者の品質管理体制を定期的に確認しており、防炎表示のコストも低くなる。福井試験センターは消防法関連のほとんどの燃焼試験設備を置いて対応する。

 羽毛は鳥肉生産の過程で出る羽毛廃棄物に限られ、欧州連合(EU)には水鳥飼育、輸送、廃棄物(羽毛)の精製と販売のための指針と規制がある。EDFA(欧州羽毛・寝具産業協会)はEDFAトレーサビリティースタンダードを確立する。また、「農業的動物飼育における動物保護に関する欧州協定」をベースにした「ダウンパス」もあり、QTECはこうしたトレース監査機関としても対応する。