わが社のアジア戦略/ダイワボウホールディングス

2015年09月24日 (木曜日)

取締役常務執行役員/繊維事業統括/門前 英樹 氏

成長戦略の中核担う

 今期から新3カ年中期経営計画「イノベーション21」第二次計画がスタートしたダイワボウホールディングス。繊維事業は経常利益倍増を狙う。その成長戦略の中核を担うのがアジア戦略だ。衣料品・生活資材分野だけでなく化合繊・機能資材分野でも積極的な拡大を目指し、投資を進めてきた。繊維事業を統括する門前英樹取締役常務執行役員に今後の戦略を聞いた。

衣料事業は選択と集中

  ――今期から新中期経営計画が始まりました。

 繊維事業は最終年度となる2017年度に経常利益を現状から倍増を狙っています。そのために「成長戦略の加速」「グローバル戦略の展開」「連結経営力の強化」を基本方針に据えていますが、なかでも成長戦略とグローバル戦略の中核を担うのがアセアンを中心としたアジア戦略です。そのための投資もすでに実施してきました。例えばインドネシア子会社のダイワボウ・インダストリアル・ファブリックス・インドネシア(DII)とダイワボウ・シーテック・インドネシア(DSI)はともに増床が完了し、DIIは仕上げ設備を、DSIは加工設備を増強しました。また、不織布製造のダイワボウ・ノンウーブン・インドネシアも2系列目の増設工事が6月に完了し、運転を開始しています。こうした投資の成果を生かし、アジア地域での化合繊・機能資材事業の拡大を進めます。とくに現地の需要を積極的に取り込むことで“地産地消”のビジネスモデルを構築することが目標となります。

  ――衣料分野については。

 衣料は“選択と集中”によって収益性を高めることがテーマとなります。そこで縫製のダヤニガーメント・インドネシア(DGI)は6月にチカンペック工場を閉鎖し、生産をブカシ本社工場に集約しました。

 今後、DGIは独自性のある原料使いなど高付加価値品の縫製に特化し、それ以外は中部ジャワ地区に立地するダイワボウガーメント・インドネシア(DAI)に移管します。

  ――大和紡績香港の役割も大きくなっています。

 設立から4年目に入ったわけですが、中計では最終年度に売上高を現在の4倍規模にまで拡大する計画です。これまでの3年間はダイワボウノイから移管された仕事が中心でした。今後はアセアン生産した製品を欧米に輸出するなど自前のビジネスを拡大させます。また、DNIの生産品を中国に販売するなどダイワボウポリテックと連携したビジネスや、産業資材関連の販売も拡大することになります。

 ――中国事業についてはいかがですか。

 中国縫製の強みは、やはりQRです。これはとくにカジュアル製品の分野で生きる。実際に蘇州大和針織服装も現在はカジュアル製品の縫製でフル稼働が続いています。さらに独自原料・加工を使った商品など高付加価値製品の生産を拡大させていくことになります。

  ――中計初年度も前半が終わります。

 前年度から準備を進めてきました。中計1年目から全力疾走できる体制になっています。計画を前倒しで達成するぐらいの意気込みで今後、事業戦略の実行に取り組みます。

ダイワボウホールディングス ジャカルタ事務所/産資で新規市場開拓

 ダイワボウホールディングスのジャカルタ事務所が取り組んできたインドネシアのグループ関係会社の営業支援業務によって新規市場の開拓が進みつつある。とくに産業資材分野で新規受注を獲得するなど成果が上がってきた。

 ジャカルタ事務所の岩城宏之副所長によると「DIIはインドネシアを含むアセアン地域で販売が拡大している。現地営業スタッフも増員した成果が出た」と話す。引き続き産資用織物の拡販を進める戦略だ。

 また、DSIもインドネシア内販に重点的に取り組んでおり、建築資材で新規受注の獲得に成功した。「従来は日本から輸入されていた商品をDSIの生産品に置き換えることに成功した」

 現在、インドネシアでは日系ゼネコンを中心に建設現場で使用する資材の高度化が進められている。このためDSIが生産する建築資材も今後の需要拡大が期待できるという。

 一方、衣料分野ではDGIとDAIを中心に縫製事業の再編が進んだ。加えて紡織加工のプリマテキスコ・インドネシアも「国内販売は内需不振で苦戦しているが、日本向けは糸・生地とも健闘している」という。ジャカルタ事務所では、引き続き情報収集と営業支援活動でインドネシアのグループ会社の事業拡大をサポートする。