学生服アパレル/生徒減で大手間の攻防如実に

2015年09月25日 (金曜日)

 「大手同士の競合が激しくなってきた」――学生服アパレルの制服市場をめぐるモデルチェンジ(MC)校の獲得をはじめとするシェア争いは、納入していた既存校の生徒数減少の影響が如実に表れてきたことで、ますます激しさを増してきそうだ。これまでの体制を見直し、学校のニーズにより沿った販売戦略を強める。

ニーズ的確にとらえる体制へ

 学生服アパレルの2014年度決算は、消費増税の駆け込み需要が今年無かったことに加え、制服を納入している既存校で生徒数の減少が顕著に見られたことで、各社減収基調となっている。

 明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC、岡山県倉敷市)の2015年5月期決算は、売上高が前期比0・4%増の233億円と微増だったものの、スクールとスポーツだけを見れば減少した。

 トンボ(岡山市)の15年6月期決算は、売上高が1%減の255億円で、スクール、スポーツとも減収。15年入学商戦では学生服のMC校の獲得が全体の4割近くあり、喪失校の分を相殺したうえでも、生徒数は前年より約8000人増えた。しかし、既存校だけを見ると、少子化による生徒数減少の影響を受けた。

 菅公学生服(岡山市)や瀧本(大阪府東大阪市)も同様の理由により減収の見通し。ほとんどの企業が、利益面も原材料や物流費などの増加で減益になりそうだ。

 ニッケによると16年入学商戦のMC校の推移は高校が126校、中学校が70校と合わせて196校で、今年の167校よりは増える見通し。新設校は小学校が3校、中学校が11校、高校が5校となっている。

 ただ、来年の入学者数は、文部科学省の2014年度の学校基本調査から推し量ると中高の入学者数は2万人以上減少するとみられ、アパレル間での市場のシェア攻防が激しさを増してきそうだ。そのため、市場のニーズにより沿った体制へと転換しつつある。

 トンボは6月、マーチャンダイジング(MD)や都市部での販売強化のため組織を再編し、「MD本部」「販売本部」を設置した。全国の支店や販社との意思統一を図り、本社が掲げる方針や方策を、MD本部を通じて徹底させることにより、「顧客の要求や要望などを反映した商品やサービスの提供を強化する」(近藤知之社長)のが狙い。10月には執行役員制度を導入し、意思疎通のスピード化とともに、若手の登用も進める。

 明石被服興業は6月から製販分離の新体制となり、企画・営業部門を明石SUCとしてスタート。全国の販売子会社7社を合併・統合し、8エリアの営業拠点によるフラットな組織となった。「同じ立場で営業しているという一体感を高める」(河合秀文社長)とともに、「営業マンのスキルアップについても良い方向に出始めてきた」。

 菅公学生服は、明石SUCとは逆に一昨年から全国各地の営業拠点の分社化を進めており、8月からこれまでの10社から22社へ拡大、「より地域に密着し、学校との関係を強化する」(尾﨑茂社長)ことで事業基盤を固める。