それでも内販拡大へ!――「インテキ上海」を振り返る(2)/高度化と新分野の創出/グループでの力を発揮

2015年10月21日 (水曜日)

 今回の「インターテキスタイル上海」は、中国ビジネスが新段階に入ったことを改めて示した。商品高度化に加え、新分野・切り口の創出の重要性がさらに増している。

 東レは、人工皮革「ウルトラスエード」を中心に紹介した。とくに「同NU」が好評を得たほか、張り合わせやカットワークなど意匠性を高める諸加工も注目された。別ブースの東麗酒伊織染〈南通〉も素材の高度化、子供服などの新提案を強化したことで多くの来場者を集めていた。

 帝人フロンティアは、メンズの提案にとくに力を入れた。輸出全体ではレディースが主力だが、近年はメンズの強化にも注力していることが背景で、中国でも代理店とともに拡大を図っている。今回はとくにPTT繊維「ソロテックス」をメーンに、ウールや綿との組み合わせなど日本製ならではの素材を打ち出した。

 ローカルブースに出展した帝人グループの南通帝人がソロテックス使いやリサイクル糸使いなどを紹介。帝人と精工集団との合弁、浙江佳人新材料もケミカルリサイクルのポリエステル差別化糸を「ヤーンエキスポ」で紹介するなどグループ連動の提案も特徴だった。

 東洋紡ブースでは日本エクスラン工業が新提案を重視していた。保温インナー市場に停滞感が出るなか、従来の「機能性」提案を進化させるのとは別に、新しい切り口の創出が必要と考え、「健康」「美容」へpHコントロール機能の「サプリ」や抗ウイルス素材「バイアクリア」を紹介した。

 pHコントロールなどは現時点の中国市場では「知る人ぞ知る」段階で、説明の手法も重要となる。今回のブースは昨年とは少し趣を変えて開発を前面に出す形としたが、実演を交えて紹介することで、聞く側の理解が進む効果もあったようだ。

 同ブースでは、東洋紡STCインナー事業部も東洋紡高機能製品貿易〈上海〉と連携して出展。「綢麗」「凍酷」など春夏向け商品も紹介し、両社がそろうことで年間提案も可能な形となっている。

 東洋紡テクノウールも今回から初参加し、「マナード」をアウター主体に訴求した。「東洋紡グループの中に中国での成功例があることは、中国を市場としてとらえるきっかけの一つとなった」(伊藤均社長)というように、グループ内での相乗効果も見られた。