「AFF・東京2015」開幕/競争力強化への取り組み注視

2015年10月22日 (木曜日)

 アパレルOEM・ODM展示会「AFF(アジアファッションフェア)・東京2015」(日中経済貿易センター主催)が21日、サンシャインシティ文化会館(東京都豊島区)で開幕した。会期は明日23日まで。対日衣料品生産の動きを示すように、東南アジアに生産拠点を構える企業、新技術による競争力強化を打ち出す企業の増加が特徴だ。

〈日中連携に新たな局面〉

 財務省貿易統計を基に繊維輸入組合がまとめた2015年1~8月のアパレル輸入統計によると、全体数量(点数)に占める中国のシェアは71・2%で、前年同期比4・2ポイント低下した。逆に、アセアン地域のシェアは21・0%で、こちらは昨年同期に比べ3・6ポイント上昇している。

 着実に進む生産シフトは今回のAFFにも反映されている。日中経済貿易センターによると、東南アジアなど中国以外に縫製工場を持つ出展企業は30社で、過去最多になった。品質管理、最小ロット、リードタイムなど課題も多い東南アジアでの生産に対して、これらの出展企業がどのように取り組んでいるのかは今回展のポイントの一つになる。

 レディース布帛を得意とする南通東潤は、量販向けのコスト対応策として、カンボジアにブラウスを生産する自社工場を3年前に設立した。担当者によると納期遅れ、品質不良など立ち上げのトラブルを乗り越え「1月までスペースが埋まっている」現状で、戦力の一つになっている。

 競争力強化に向けた出展者の打ち出し方も、今回展の注目点。1~8月輸入統計では、中国からの輸入数量は前年同期比11・6%減。一方で金額は1・9%微増している。金額を数量で除した一点当たり平均単価は722円で前年同期比96円上昇しており、中国生産の高度化がうかがえる。

 4月開催の大阪展を訪れた下村彬一・日本繊維産業連盟会長は「商品の見せ方一つとっても以前とは大きな差がある」と語った。実際、ブースのディスプレーを工夫する企業、機能素材による付加価値向上をアピールする出展企業は回を重ねるごとに増えている。

 中紡広告展覧公司の孫暁明総経理は「多くの出展企業は(1)生産効率化など経営改善(2)自動化に向けた設備投資(3)IT活用による工場のスマート化――などに取り組んでいる」と話す。

 日本向けに特化し、織り・染め・縫製・二次加工の自社一貫でベビー・子供服を生産する南通三喜OPUS服装は小ロット・短納期対応を強みとし、自社開発の生産管理システムで在庫の適正化につなげている。

 472ブース、401社という展示会の規模は前回とほぼ同等。こうした出展企業の存在は、コストアップや人材確保難を相互連携で乗り越えようとする日中の密接な関係の新たな局面とも言える。