クラレ/「ベクトラン」を能力増/差別化強化へ20%拡大

2015年10月22日 (木曜日)

 クラレは高強力ポリアリレート繊維「ベクトラン」の生産能力を増強する。細繊度、原着、紡績用など「差別化品強化の一環」(天雲一裕取締役常務執行役員繊維カンパニー長)で、2016年度(1~12月)中に総能力を現状(年産1000トン)に比べ約20%引き上げる。

 ベクトランは低吸水、耐磨耗性などを特徴とする高強力のスーパー繊維。ロープ・スリング・魚網などが主力用途。この数年、細繊度糸をはじめとする差別化品へのシフトを強めるほか、新製法プロセスである「VICTORY」の開発も行う。

 同社はベクトランに続く高性能繊維としてポリエーテルイミド(PEI)繊維の「クラキス」の本格事業化にも取り組む。クラキスはサウジアラビア・サビックの非晶性熱可塑性エンジニアリング樹脂を繊維化したもので、13年5月に年産500トンの中量産設備を導入した。低発煙性、難燃性などの特徴を生かし、航空機内装材にターゲットを定め、本格化に取り組む。「クラキスは当社らしい繊維素材の一つ。ビニロン同様に、長く続く用途の開拓を進める」考え。

 主力のビニロンの新生産プロセス「VIP」(ビニロン・イノベーティブ・プロセス)の実証プラント(年産250~300トン)は4月から立ち上がっている。現在、長繊維を中心に需要家段階での試験中で「ほぼ計画通り」。今後、同設備を活用した新タイプのビニロン開発も並行して行い、状況を見ながら次のステップを考える。