高度化を求めて/「AFF・東京2015」レビュー(上)/自社機能をいかに伸ばし切るか

2015年10月27日 (火曜日)

 前身の「チャイナファッションフェア」から数えて26回目となった「AFF・東京2015」が23日閉幕した。中国でのコストアップ、日本の市況低迷と、困難な状況のなかで、顧客との深掘りを探る出展企業の姿勢が浮き彫りになった。AFF・東京2015を振り返る。

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 中紡広告展覧公司の孫暁明総経理は、「会場を見て回ると、独自性が光る企業が多かった」と語る。回を重ねるごとに、機能性素材の扱い、東南アジアでの新工場立ち上げ、小ロット・短納期対応など自社の強みを強調したパネルを掲げる出展企業が増え、商材のレイアウトなどにこだわるブースも目立つようになった。来場者を積極的に呼び込む担当者のスタイリングも際立って洗練されている。

 こうした状況を孫総経理は、「対日実績を通じたメーカーとしての技術と資質が高まっている証拠」として評価する。ただ、密接な協力関係を作ってきただけに、現状の困難さに苦労する声も多かった。

 出展企業の声をまとめると、前年同期と比べた対日取引数量は5~20%減少したようだ。人件費などコスト増の一方で工賃が上がっていないことなどが影響してさらに、利益は「5~6年前に比べると、大幅に下がっている」。

 「倒産の話もよく耳にする」「日本からの受注が減り、中国国内では空いているスペースが多くなっている」「工場が多い。今後、淘汰されていくことは間違いない」など、この2~3年の状況の厳しさをこぼす。

 こうしたなかで、今回の出展規模は472ブース、401社。来場者数も初日1700人、2日目1800人と、ほぼ前年並みになったことは、日中の取り組みの深さの表れだろう。

 日本向けに特化し、20年の実績を誇る南通丸久時装の陳飛氏は「モノ作りの品質は絶対に落とさず、この2~3年は我慢しようと顧客と話している」と語った。

 製織、染色、縫製で自社工場を保有し、一貫対応する同社にとって、高品質のモノ作り体制は生命線だ。モノ作りのレベルを落とせば、手前の状況を乗り越えることができても、長続きはしない。OEMでの利益は非常に厳しい環境だが、モノ作りのレベルを堅持し「長い付き合いができる体制」を何よりも重視する。「自社の特徴をいかに伸ばし切るかが、今後は極めて重要になってくる」との指摘が印象的だった。