クラレ「クラリーノ」/天然皮革代替を開発/伊なめし業者と共同で
2015年10月28日 (水曜日)
クラレはこのほど天然皮革代替素材を開発した。同社の人工皮革「クラリーノ」は今年50周年を迎えた。天然皮革代替の開発を機に、これまでの人工皮革とは異なる領域へと発展戦略を描く。
天然皮革代替品はクラリーノ・アドバンスド・テクノロジー・システムズ(CATS)による環境配慮型人工皮革「ティレニーナ」をベースに、イタリアのなめし革業者と共同開発し、今年9月9~11日、イタリアで開催された皮革見本市「リネアペレ」で披露した。
機能材料カンパニーの中村育雄クラリーノ事業部長は「まだまだ、オン・ザ・ウエー」としながらも、「天然皮革並みの人工皮革として、一つのカテゴリーを作りたい」と意気込む。
リネアペレへの出展は8年ぶり。バッグの産地であり、高級ブランドのデザイナーが来場する同展で、高級バッグをターゲットに天然皮革代替品を訴求。「来場者の反応は上々だった」と言う。
欧州だけでなく、今後は天然皮革による靴の本場である米国でも現地のなめし革業者と連携し、天然皮革代替品の開発を加速する。
中村クラリーノ事業部長は「天然皮革、なかでもカーフキップなど高級原皮が不足するなかで、チャンスはある」と強調。
無溶剤などCATSの環境配慮技術も生かしながら「まずは欧米市場を開拓に力を入れるが、日本の皮革業界にも貢献できる商品にしたい」と意気込む。
〈15年度は営利目標/10億円弱を上回る〉
クラリーノの2015年度(1~12月)業績は円安も追い風に増収増益を見込む。現時点では目標である営業利益10億円弱を上回るペースで推移するという。
好業績を支えるのはCATS(年産250万平方メートル)設備によるティレニーナの拡大。上期は前年同期比が50%増となり、稼働率が70%にまで高まったことが寄与する。靴用途を主体に、電子機器部品など成形性を生かした用途開拓も進む。
汎用品を生産移管する中国合弁の禾欣可楽麗超繊皮〈嘉興〉もスポーツシューズ向けを中心に10%増で推移、岡山事業所(岡山市)の主力生産品種であるランドセル用も堅調だった。ランドセルはA4フラットファイルが入るようになるなど大型化する。さらに天然皮革の不足と円安も含めた輸入原皮の価格上昇から、人工皮革シフトも進んだことも寄与している。また、国内生産によるスエードも雑貨、装飾品、インテリア向けなどが伸びる。




