高度化を求めて/「AFF・東京2015」レビュー(中)/深化する自社機能、広がる拠点

2015年10月28日 (水曜日)

 先を見据えた積極的な方針を語る出展企業からは共通して、自社の得意とする分野を徹底して伸ばそうとしている方針が見られた。生地・縫製一貫対応の南通丸久時装は、ほとんどのメーカーが16秋冬に向けた商材を展示するなかで、17春夏素材を並べた。日本向けに特化している同社は開発提案に注力しており、「モノ作りに提案力を加えて自社機能の付加価値を高めた発信をしていく」(陳飛氏)。AFFが顧客とのコミュニケーションを通じたトレンド情報を収集する重要な場所となっている。

 カゴのOEMから始め、縫製バッグ、シューズなど雑貨全般に商材を広げてきた青島九州友邦工貿は、2015年度の売上高を大幅増収とする見込みだ。低価格ゾーン主体から、百貨店、セレクト向けなど高価格帯への販路シフトが奏功している。店頭での雑貨比率が高まる現象にも連動して、販路が増えているという。豪州産ムートン、マダガスカル産の湿地性植物など調達ソースを幅広く持ち、原料起点で差別化するモノ作りと1型300個程度からの小ロット対応を訴求する。このほど設立した日本での窓口となるタイムズ(東京都品川区)を通じても「OEMで確実に日本の顧客を増やしていきたい」(時峰氏)と語る。

 東南アジア地域での工場設立も機能強化の一貫で、同地域に工場を持つ企業の数は30社と過去最高となった。

 12月にミャンマーでカットソー、布帛の工場を稼働させる南通賽暉国際貿易股フンのブースには来場者が後を絶たなかった。とくに量販ゾーンは中国生産のコストが「合わなくなった」ことが進出の最大の理由。500人規模の新工場では、カットソーで40万枚を月に生産するという。シンプルでリードタイムの長い商材から移管していく。

 ラオスにセーター工場を設置したのが、偉標〈潮州〉工芸服装。中国の3分の1という人件費に加え、刺繍を得意とする手先の器用さが魅力で進出を決めたという。150人規模で年間7万枚程度を生産するが生産性がまだまだ低く、「社長自らが頻繁に出向いてスピードアップに取り組んでいる」(担当者)状況だ。