特集 ITMA2015/“アート”の革新へ/テーマは“サステイナブル”/有力出展者とみどころ

2015年11月06日 (金曜日)

村田機械自動ワインダーが進化/IoTで統合マネジメント

 村田機械は自動ワインダー「QPROプラス」「FPROプラス」、渦流精紡機「ボルテックスⅢ870」を実機出品するほか、IoTを活用した統合型マネジメントシステムも披露する。

 自動ワインダーは既存のQPRO、FPROが進化した。とくにアームトラバース方式のFPROプラスは精紡機直結のリンクコーナータイプを実機提案。綿糸やウール糸など多様な糸種・番手、パッケージタイプの巻き上げを実演し、多品種小ロット対応力と高いパッケージ品質を打ち出す。ガイドドラム方式のQPROプラスはボビントレータイプを出品。高品質、高生産性、省エネ性が強化された。

 ボルテックスⅢ870は、これまで難しいとされていたポリエステル100%紡績を実演し、幅広い原料の紡績が可能な点を打ち出す。また、恒例の生地サンプルも紹介し、ボルテックス糸の優れた物性や風合いなどをアピールする。また今回は統合型マネジメントシステム「ムラタ・スマート・サポート」も注目。IoTを活用し世界中のユーザーとネットワークで接続し、機械の状態を管理できる。今回はタブレット端末を使用しての工場の維持管理システムが実演される。少人数での工場運営が可能になり、生産ロス低減、品質低下防止を可能にした。

豊田自動織機/「RX300」でモザイク糸/島精機との共同開発も

 豊田自動織機はリング精紡機「RX300」、エアジェット織機「JAT810」、コーマ機「TCO12」を実機出品する。ウスターテクノロジーズや島精機製作所との共同開発も注目される。

 RX300は、子会社であるウスターテクノロジーズと共同開発した糸切れ検出装置と粗糸切れ停止装置を搭載。RX300の単錘駆動システムと組み合わせることで色や太さなどが自由設定で切り替えることが可能になった。ITMAでは複雑なモザイク糸の高速紡績を実演する予定だ。

 JAT810は独自開発の電子開口装置を搭載し、異種異番手での変則コーデュロイ製織実演やウスターテクノロジーズが新開発した省エネ装置を紹介する。島精機製作所とは織布用デザインシステム「APEX―T」を共同開発。複雑なギンガム柄などを効率的に生産する仕組みを披露する。

 TCO12はエアジェット織機で培ったサーボ技術と振動低減ノウハウをコーミング技術に活用。品質・生産性を自由にコントロールできるデタッチングモーションをはじめ、ラップを自動でつなぎ合わせる「TCO―ALP」を初披露、世界最短のラップ交換時間を実現する。

イズミインターナショナル/欠かせないテンション制御/高機能繊維用フィーダーも

 イズミインターナショナルは、高機能繊維や産業資材用繊維の製織で欠くことのできないテンション制御装置や緯糸供給装置などを多彩に提案する。

 ガラス繊維や炭素繊維は、糸の伸度が小さいため、整経から製織まで繊細なテンション管理が求められる。同社では、とくにテンション管理が難しい極細繊度ガラス繊維用テンション制御装置「TPO1000」を提案する。磁気式の制御システムなのでガラス繊維を傷めないのも特徴だ。また、炭素繊維などは扁平糸を使うケースが多いが、扁平糸がよじれないように緯糸として供給するのが「WF―510」だ。

 近年のITMAでは高機能繊維や産業資材分野に向けた機械への注目度が高まっている。このため同社でもITMAを通じて欧州や米国、東アジア市場への拡販を進める。

AIKIリオテック/特殊スラブ糸加工機を提案/インド市場もターゲット

 AIKIリオテックは特殊エア糸加工機「ATS―600」を出品する。エア加工機のなかでも、スラブ糸加工をメーンに考えた特殊仕様機だ。

 同社のこれまでの加工機は通常、4種類あるスラブ糸から1~2種類を選択して加工する方式だったが、ATS―600は、同時に4種類すべての選択が可能となる。さらに1度に2種類のスラブ糸を同時加工することもできるスラブハイブリッドタイプの糸加工機である。

 ITMAが開催される欧州だけでなくアジア市場、とくにインド市場をターゲットとした機械でもある。インドでは空気加工機を製造・販売している企業が非常に多いため、加工糸の単価下落傾向が激しい。

 このため単純なエア加工糸では大ロット生産できる大企業が強くなり、中小企業は太刀打ちできない。そこで、ATS―600のような特殊仕様機を使うことで中小企業に有利な差別化糸の生産が可能となるとみている。

 そのほかのアジア地域、中東地域へも販売活動を行う計画だ。

TMTマシナリー/「エコオルカⅡ」を披露/生産自動化システムも紹介

 TMTマシナリーは、村田機械と共同出展する。今回はPOY用の新型テークアップワインダー「エコオルカⅡ」を披露するほか、生産プロセスの自動化管理システムなども紹介する。

 エコオルカⅡは、従来の「オルカ」から巻き取り構造を全面的に変更することでパッケージの開じょ性を向上させた。大手合繊メーカー3社にすでに先行導入し、性能に関するフィールドテストも終え、正式受注も得ている。また、糸掛け機構も改良されており、従来機よりも少ない人手で稼働できる。

 いずれも日本や台湾などの合繊メーカーからの要望に応えて開発した機能となる。今回のITMAへの出展を通じて欧州でも評価を得たいとの考えだ。

 村田機械が統合型マネジメントシステムを打ち出すのに合わせて、TMTマシナリーとしても生産プロセスの管理システムも紹介する。

 これに併せてタブレット端末を使った管理手法などをデモンストレーションする予定だ。

津田駒工業/史上最高/回転数に挑戦/IoT対応システム紹介

 津田駒工業は“超”高生産性を追求したエアジェット(AJ)織機のコンセプトモデルを出品し、AJ史上最高回転数に挑戦する。また、最新鋭AJ織機「ZAX9200ⅰマスター」を実機紹介するほか、IoT対応システムも披露する。

 今回披露するコンセプトモデルは、AJ織機史上最高回転数による高生産性と高品質な製織の両立を追求した。構造体、開口装置、緯糸挿入システムも見直した。専用設計のスロースタート/ストップ制御機能を備え、急な起動・停止でも織物品質に影響を与えず、機械の劣化も抑える。

 ZAX9200ⅰマスターは、筬幅340センチの広幅高速製織で圧倒的な空気使用量削減と緯糸挿入性能を打ち出す。独自のダイレクトサブノズルシステムが「DSS―Ⅱ」に進化。高応答バルブ、マニホールドから配管システムの最適化で省エア、低圧力で安定した緯糸挿入を実現した。電装も新型を搭載する。また、製織支援機能も「ウィーブ・ナビゲーション・システム―Ⅱ」にバージョンアップした。

 注目が高まるIoT対応として「ツダコマインターネットサポートシステム(TISS)」(仮称)も披露する。ユーザーが保有している織機、準備機械の性能をフルに発揮できるようにするサポートシステムを構築する。織機、準備機械を津田駒工業と結び、稼働改善のバックアップなどを行う構想だ。

 そのほか織布工場の生産性向上に貢献する「ツダコマスタイルチェンジシステム」も新たに打ち出す。T―テックジャパンの準備機械と連携することで機替え作業を最大30%削減できる。

イテマウィービング/R9500テリーが登場/高い効率・速度・信頼性を実現

 イテマウィービングの主力機種として世界で導入実績を上げ、ベストセラーとなっているレピア織機の「R9500」。同社は「ITMA2015」で同機のタオル用レピア織機「R9500テリー」を披露する。

 「R9500テリー」は強靭な構造と先進的なテクノロジーを持つ「R9500」の長所をタオル織機に移植。高効率、高速度、高信頼性を実現する。

 さらにタオルの品質を飛躍的に向上させるため、3種類の革新的な機構を投入。その一つの新型積極制御パイル糸バックレストローラーは補正スプリングを装備し、開口動作と筬打ちで発生する経糸のピークテンションを制御。比類のないフレキシビリティーと製織効率をもたらす。また、新型パイル形成ユニットは単一モーターが複数のロッドを介し、積極制御のウィップローラーを駆動して、布の移動中のパイル糸張力を一定に維持。他方、新型地糸バックレストローラーは軽量ローラーと高感度センサーが経糸張力のピークを回避し、スムーズな開口動作を実現する。

 同機は今治タオル産地へ12台の納入が決まっているという。

ピカノール/レピア、AJでタオル/オプティマックス―ⅰに進化

 ピカノールは今回のITMAでレピアタオル織機「テリーマックス―ⅰ」とAJタオル織機「テリープラスサマム」を披露する。また、レピア織機「オプティマックス」は新型機「オプティマックス―ⅰ」に進化した。

 今回、テリーマックス―ⅰとテリープラスサマムを発表することでピカノールはレピア方式とAJ方式という2つの横入れ挿入システムでタオル織機を生産する世界唯一のメーカーとなる。電子制御によるパイル形成は、ループごとにパイル長を調整するなど高い汎用性を特徴とする。

 ITMAではテリーマックス―ⅰは260センチ幅で緯糸8色の製織を実演。テリープラスサマムは織幅260センチ、電子ジャカードを搭載し緯糸6色で実演を行う。とくにAJ方式による電子ジャカードのタオル製織は、緯糸6色と合わせて注目されそうだ。複雑なジャカードタオルを高速生産するという新しい挑戦と言える。

 一方、オプティマックス―ⅰは、「世界最速のレピア織機」を掲げる。ボディー剛性、省エネ性能などが向上している。筬幅は190センチのほか540センチの広幅機も用意。こちらはガイド付き積極レピア方式を採用している。産業資材分野に特化した機種となる。AJ織機のオムニプラスサマムも多数実機展示。シーツ、シャツ地など薄地から車両用織物まで幅広い用途に対応していることをアピールする。また、今年からピカノールの日本販売代理店はエディーが担当する。

ストーブリ/サファイアS60を披露/電子ジャカードも拡充

 ストーブリは、最新鋭の自動ドローイング機「サファイアS60」を披露する。電子ジャカードも、「SX」「LX」「LXL」がともにバージョンアップした。

 サファイアS60は「デルタ110」の後継機種。従来の分離ニードルに変わってバキュームグリッパーを採用した糸分離システムを開発した。糸番手に応じて分離ニードルを交換する必要がなく、同じシートで異番手糸のドローイングも可能だ。デジタル画像処理機能付き光学センサーによってマルチカラーの経糸ビームにも対応。2つのレイヤーからのドローイングも可能だ。そのほか多彩な機能が搭載され、高い汎用性を誇る。

 一方、電子ジャカードはフックの上下運動を制御するモジュールに新型モジュールMXを搭載。耐久性が大幅に高まった。LXLは口数も1万6384口使用が可能になり2台設置で最大3万6840口が可能になる。そのほか省エネ性能も向上している。

 ドビーは最新鋭のロータリードビー「S3000/3200」を提案する。ストーブリの第3世代ドビーであり、新開発のセレクターシステムを搭載し、耐久性向上や低振動、高生産性を実現した。産業資材用では新型カーペット織機「ションヘルアルファ500イノベーション」を披露する。最大織幅5・3メートルまで対応する。