「ITMA2015報告(1)」ミラノからの手紙

2015年12月08日 (火曜日)

 4年に1度開催されることから“繊維機械のオリンピック”とも言われる国際繊維機械見本市「ITMA」。11月12日から19日までの8日間、イタリア・ミラノで「ITMA2015」が開催された。展示会の成果や最新提案の内容などを連載で報告する。

 中国の景気減速が鮮明になるなど、いわゆる“チャイナショック”で世界経済の先行きに対する不透明感が強まるなかでの開幕となった「ITMA2015」だが、出展者・来場者ともに雰囲気は悪くなかった。世界47カ国・地域から1650社以上が出展したが、出展企業からは「総じて展示会として成功したのでは」との評価が上がっている。

 本紙が入手したデータによると、会期中の来場者数(延べ人数)は12万2768人。国別で見ると、地元イタリアが2万2060人で最多となり、インド1万843人、トルコ9941人、ドイツ8477人、フランス4158人、米国3637人、イラン3263人、ブラジル3164人、パキスタン2986人、スペイン2960人と続く。日本からも1909人が来場し、国別来場者数では18位につけた。

 欧米の先進国とインド、トルコ、ブラジル、パキスタンなど新興国が国別来場者数ランキングの上位で共存しているのもITMAの特徴だろう。新興国が求める高生産性や省エネ・省人化の最新テクノロジーが提案されると同時に、先進国の繊維産業に対して高機能資材向けやIoT(モノのインターネット)といった最新のソリューションが紹介されているからだ。

 今回のITMAに関して出展企業からは成功だったとの評価が多い。日本繊維機械協会によると、現在集計中の出展日本企業へのアンケート調査でもビジネスの成果や展示会運営について高い評価の回答が目立つという。また、欧州の機械メーカーからは「展示会期中に実際に成約する来場者が多かった」(ストーブリ)、「日本のユーザーからも新型機の成約を得た」(ピカノール)といった声が上がる。

 実商談が活況だったことで、来場者数以上に出展企業は手応えを感じているようだ。長年、ITMAを見続けてきた村田機械の村田純一会長も「ある意味で“失われた20年”が終わり、本来のITMAらしさが戻ってきたのでは」と指摘する。

 繊維機械には、古くから求められてきたもの、現在求められているもの、未来のために求められるものがある。今回のITMAでは、そうしたニーズに対応した提案が数多くあった。次回から分野別にその概要を振り返る。