ミラノからの手紙/「ITMA2015」報告(3)

2015年12月10日 (木曜日)

 紡績機械、とくに前紡分野はリーターとツルッツラーの2強体制が続いており、競争が一段と激化した。そうしたなか、存在感を高めているのがメーカー連携によるラインアップの拡充だ。ツルッツラーと豊田自動織機の連携が一段と深まっている。

 リーターはベールオープナーから精紡機までをラインアップする総合メーカーだが、今回のITMAでもカード機、コーマ機、練条機といった前紡機械からリング精紡機と革新精紡までフルラインアップを提案した。前紡分野ではカード機「C70」、コーマ機「E86」、練条機「SB―D11」(1デリベリ)、「RSB―D24」(2デリベリ)をラインアップする。

 一方、ベールオープナーや前紡機械で高いブランド力を持つツルッツラーは、最新のカード機「TC15」を展示。リーター「C70」が最大処理速度毎時280キロに対してツルッツラー「TC15」は同260キロだが、多彩なセッティングとモニタリングを可能にする「T―CON」システムなどを搭載し、高付加価値で汎用性のあるカード機として人気が高い。

 ただ、紡績機械は近年、新興国を中心に前紡から精紡までを一貫ラインとして提案し、導入されるケースが多い。前紡分野で高いブランド力を持つツルッツラーとしても、フルラインアップのリーターに対抗するためには機種の拡充が急務だった。

 この意味で大きな意味を持つのが、豊田自動織機とツルッツラーが共同開発したコーマ機「TCO12」だ。2014年から本格販売しているが、ITMA2015でも豊田自動織機のブースで実機提案を行った。リーターのE86が機械式の機構であるのに対して、TCO12は豊田自動織機が持つ電子制御の技術を導入し、毎分700ニッ

プでのカーディングを実演した。ラップの自動交換システムも初めて実用化している。

 豊田自動織機とツルッツラーの連携は、さらに拡大している。ツルッツラー・トヨタのブランドでラップフォーマー「TSL12スーパーラップ」、練条機「TD8」を共同開発し、こちらはツルッツラーのブースで実機を紹介した。いずれもツルッツラーの前紡機に関するノウハウに豊田自動織機が紡機や織機で培った電子制御などの技術を導入したものだ。

 前紡分野は技術的に成熟した分野だけに、各社とも生産性向上や省エネ、加工品質の向上などを中心に競争している。加えて一段と激しさを増しているのが、紡績の全工程の機種をそろえるライン提案。ツルッツラーと豊田自動織機が連携することで、両者はベールオープナーから精紡機までのラインアップを持つ。リーターと豊田自動織機・ツルッツラー連合が精紡までの全工程で競争する構図が鮮明になったと言えよう。