ミラノからの手紙/「ITMA2015」報告(17)/染色仕上げ機/水使用量を減らす方向に

2016年01月14日 (木曜日)

 染色仕上げ機器では、浴比を下げながら水の使用量をさらに減らす動きが進んだ。環境意識の高まりや各国で進む排水規制への対応、ユーザーのコストダウンを図る動きなどが背景にあるが、デジタルプリントの台頭もこの動きを加速させているようだ。

 今後、風合い面など強みを進化させながらデジタルプリントと共存・住み分けしていくのが一つの方向性だが、そのなかでもデジタルプリントに強みがある水の問題は無視できない。デジタルプリントが課題だった生産性を年々上げてくることもあり、課題解決の重要性が増している。

 日阪製作所は今回展で、液流染色機「サーキュラーSP」「サーキュラーMF」を紹介した。今回は提携するノセダ社製の展示だった。開発中の新機種は東南アジアを重点市場に位置づけていることもあり、来春にインドネシアで開かれる「インドインターテックス」で発表する予定としている。

 新機種のコンセプトの一つがさらなる低浴比化で、大容量・低浴比が特徴の「サーキュラーAR」を改良する方向で開発を進めているという。サーキュラーARはカーシートなど車両用で開発された機種で、浴比はMFの1対8~10に対して、1対5。近年はカーシートなど重い目付の生地だけでなく、衣料用途でも使われるようになっており、さらなる改良に加えて、生産性の向上やエネルギーコストの削減などプラスαを付ける形で新機種を開発する。

 オランダのダイクー・テキスタイル・システムズは、超臨界染色機を展示した。水を使わず二酸化炭素を超臨界流体にしてポリエステルなどを染色する技術で、商業用機は同社が初。水を使わないので排水をゼロにできるほか、助剤や乾燥工程も不要、使用する二酸化炭素も外に出さず回収・再利用することができるなどのメリットがある。

 同社は、ナイキと戦略的パートナーシップを提携するなど、環境への意識が高いスポーツアパレルを中心に注目されている。現時点ではまだ染料の制限など課題は残すようだが、タイと台湾ですでに導入されている。ダイクーだけでなく、日阪製作所もこの技術による試験機を開発済みで、今後の開発が期待されている。