学生服アパレル/粘り強く開拓の糸口探る/広がらない小学生服市場

2016年02月09日 (火曜日)

 学生服アパレル各社は、中学・高校に比べ圧倒的に制服のシェア率が低い小学校に向け、着々と糸口をつかみつつある。着心地や取り扱いやすさ、安全性など、様々な側面から制服の価値についてユーザーの理解を深めることで、市場拡大の突破口をつかもうとする。

 標準服(学校が定めた服装)を含め、全国の小学校の制服比率は10年前から8~9%程度と言われ、大手学生服アパレルもなかなか市場を広げられずにいる。私学は制服採用が多いものの、公立へなかなか広がらないのは、制服導入を決めるには学校だけでなく、保護者や地域の総意が必要になってくるためだ。

 せっかく制服導入に積極的な教師がいても、その教師の異動で立ち消えになってしまうことも少なからずあり、そこに市場開拓の難しさがある。何より、ユーザーである子供や保護者に制服の価値を今一つ伝えきれていないことも理由にある。

 「結局は努力不足」(アパレル関係者)との声も聞かれるが、小学校へも制服を広めるカギは、意外な所に落ちていそうだ。菅公学生服(岡山市)の曽山紀浩取締役開発本部長は、同社で以前調査した際、「私服の学校に通学させている児童の保護者の3割が、私服の着用で困った経験を持っているという結果が出た」と話す。潜在的な需要のなかに漂う「シーズをニーズに変える」ことで活路が見えてくる。

 例えばライフスタイルの変化がある。「共働きの世帯の増加で、洗濯してもすぐ乾くといった取り扱いやすさなど、市場の環境に沿ったモノ作りを進めてきた」と話すのは明石スクールユニフォームカンパニー(岡山県倉敷市)の金田伸吾スクール第一販売部長。同社は4年前から販売する消臭、抗菌、防汚機能を持つ空気触媒加工「TioTio」を付与したポロシャツやソックス、セーターなど順調に売り上げを伸ばす。店頭商品は価格の安い量販店や衣料品チェーンにシェアを奪われる傾向が強かったが、「量販店に流れた購買層を引き戻す」(金田部長)。

 菅公学生服の小学生向け制服「カンコータフウォッシュ」は、家庭洗濯機で100回洗っても、新品とそれほど違いが分からないほどで、前期に比べ5割も売上額が増加した。商品だけでなく子供たちの未来を応援する「ドリームプロジェクト」など、地道な活動を通じて「制服の価値を浸透させていきたい」(曽山取締役)と構える。

 トンボ(岡山市)は4年前、小学生向け制服「トンボ・ジョイ」でこれまでのパターンを見直した。撥水や抗菌防臭など中高生の制服と同じように機能性を強化したことで、既存制服の置き換えを含め、少しずつ販売量が増えてきた。体操服では、小学生に知名度がある「瞬足」ブランドを展開する。安原誠商品開発部長は、「ニーズを見極めながら、それに応えるべく、商品の提案や供給する」と述べ、市場拡大の突破口を探る。

 制服だけにとらわれず、新たな商品を投入する試みもある。オゴー産業(倉敷市)は今春、防災ずきん付きの多機能ランドセル「プレセーブ」の販売を本格化。京都教育大学付属桃山小学校で指定を受けたほか、鹿児島県の5つの小学校で推薦を受けるなど、販路が広がる。一向に広がらない市場に対し、片山一昌企画開発部長は、「知恵を絞りながら、市場の掘り起こしを進めるしかない」と話す。