新しい扉を開く/「JIAM2016」課題と期待―2―/菅公学生服/「省力化」「脱技能化」が大きな課題/JIAM2016開催まであと35日

2016年03月02日 (水曜日)

 日本の縫製品の輸入浸透率は1990年代から高まり、現状では数量ベースで約96%(経済産業省貿易統計)となっている。たった4%が日本製と言うわけだが、学生服を見ると逆に8割以上が国内生産で、国内に生産基盤があるからこそ入学式に間に合うように制服を供給できる事情がある。

 その学生服製造の最大手、菅公学生服(岡山市)は国内に倉敷工場(岡山県倉敷市)、米子工場(鳥取県米子市)、都城工場(宮崎県都城市)、志布志工場(鹿児島県志布志市)の4つの基幹工場に衛星工場も含め、合わせて18もの工場を抱える。生産に携わる従業員は約2000人。しかし、そのような大規模の工場であっても抱える悩みは、中小の工場と変わらない。

 「毎年一定数の定年退職があるので、新しい人材を必ず入れなければいけない。しかし、その人員の確保が難しくなってきた」と話すのは藤田敏男取締役生産本部長。この1~2年はどんな業種にも限らず人材確保が困難になるなか、やはり「省力化」「脱技能化」を大きな課題に掲げる。

 藤田取締役はミシンを含め「機械自体の自動化は進んでいる」と指摘する。しかし、ミシンからミシンへとつなぐ工程の部分は「まだまだ自動化できていない」と言う。例えば縫い終わってスタッカーにたまった生地が次の工程の場所に自動的に移動できれば、その分の時間を生産に充てられる。

 CAM(自動裁断機)についてもパーツ情報をラベルに印刷し、生地上に張り付けるといった作業まで自動化され、一人で対応できるが、パーツをピックアップするのに人員がたくさんいる。「意外と人が張り付いていなければならない工程が多い」だけに、そのような周辺作業の自動化が進めば、大きな省力化につながる。

 ミシンの縫製仕様にかかわるデータ入力についても直接入力しなければいけない部分も多く、データを瞬時に切り替えるようなIoT化を期待。各ミシンの稼働状況や生産ピッチの把握ができれば生産改善に役立ちそうだ。「JIAMではIoTをテーマにしたセミナーもあるので注目している」

 同社では各工場の保全担当者をチーム化し、情報交換を密にすることで、生産体制や工程での改善に乗り出している。「継続してやっていくことで、省力化につながるアイデアが出てくる可能性もあるし、そのアイデアを機械メーカーに伝えることで新たな省力化設備の開発に役立つかもしれない」。人材育成を含めて中期的に継続していくことで、生産性向上にかかわる新たな発想が出てくることを期待する。