中紡集団総裁/AFFの成功 期待/中国経済に悲観論無用

2016年03月28日 (月曜日)

 【北京=高橋要】中国中紡集団の欒日成総裁はこのほど本紙の単独取材に応じ、4月12日から大阪で開催される「AFF(アジア・ファッションフェア)・大阪2016」成功への期待を語るとともに、日本では悲観的な報道が目立つ中国経済の先行きについて、経済成長率は鈍化しているものの、「背景には『新常態(ニューノーマル)』を目指す主導的な調整があり、悲観する必要はない」と指摘した。繊維品の米国向け輸出で中国不利・ベトナム有利とされる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)も、中国企業にとってチャンスでもあると語った。

 欒総裁は、2003年に76小間の規模で始まったAFF(当時「チャイナファッションフェア(CFF)」)が、次回は357小間まで成長してきたことに対し「日中経済貿易センターやダイセンなど日本側パートナーの協力に感謝する」としたうえで、今後の方向性として(1)中国以外のアジア諸国からの出展を増やし、規模をさらに大きくする(2)製品OEM受注にとどまらず、繊維産業の発展に応じて、対応する領域を広げる――の2点を挙げた。

 2015年の経済成長率が6・9%だった中国経済については、「世界全体で見ると、成長率はまだ上位にある」としたうえで、「困難もあるが、チャンスの方が大きい」と強調。「GDP総額は世界2位でも一人当たりではまだ低い。それが潜在力になる」と、新常態下で安定的な中高速度成長を目指す路線に自信を示した。

 TPPでは、先取りする形で中国繊維企業が、ベトナムの紡績や縫製分野に積極投資している例を挙げながら、中国の産業高度化も踏まえて、米国市場の関税障壁が低くなりメリットを中国企業が取り込んでいくべきとの認識を示した。

 中紡集団は国有資産監督管理委員会が管轄する中央企業106社のうちの1社。中央政府は今年始まった「第13次五カ年規画」で地方政府管轄も含め、大規模な国有企業改革を実施する方針。欒総裁は、現段階で言えることは1つしかないとし、「繊維と食糧・綿花という2つの事業を柱に起業価値を上げていく」と述べた。

 同席した中紡広告展覧公司の孫暁明総経理は7月に予定する「AFF・名古屋2016」について、「2回目の開催なので規模の拡大は追わず、前回展と同規模にする。それが、大阪や東京で得た展示会を成長させる教訓の一つ」と語った。