新JIS関連に対応する検査機関

2016年04月13日 (水曜日)

 今年は新JIS関連の動きが本格化する。4月1日から特定芳香族アミン規制が始まり、12月にはケアラベルが刷新される。高視認性安全服の規格もJIS化され、新たな市場として期待される。検査機関はこうした動きをとらえて、JIAM会場でアピールする。

〈カケン/ケアラベルセミナー開く〉

 カケンテストセンター(カケン)は、新JISのケアラベルセミナーを開催する。衣料品のケアラベルはJISL0217(以下現行JIS)に従って表示されていたが、ISO規格(ISO3758)と整合化した新しい表示記号(JISL0001、以下新JIS)が制定され、今年12月から刷新される。

 カケンではケアラベルの切り替えは17春夏物が中心となるとみて、試験体制の整備を行う。他の検査機関と協力しながら、ISO規格(洗濯力の強い洗濯機を使用)と整合性のとれた洗濯条件を探して適用していく考えだ。また、新しいラベルのウエットクリーニングについても、協力クリーニング工場で対応する。

 絵柄は現行の6分類22の図柄が5分類41に倍増する。「絵柄の増加によって、ケアラベルの大きさも変わる可能性もある。切り替え時には相当の混乱も懸念される」とし、今後は「従来の規格内容主体のセミナーから、変更を踏まえてどう対応するのか、より実践的なセミナーを行っていく」と言う。具体的商品をサンプルにしてケアラベルを説明する考えだ。

 この重要改正3案件セミナー(新ケアラベル特定芳香族アミン類規制・子供服衣料の安全性)は3月から開始しており、4月12日は名古屋、13日は岐阜、15日は大阪で開催。5月13日は福井でも行う予定。

〈ボーケン(5―211)/“正しい理解”を啓発〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、繊維業界で関心の高いアゾ染料(特定芳香族アミン)を使った繊維・革製品の販売規制や12月から導入される新ケアラベル(洗濯絵表示)制定などについて、パネルを使って検査の必要性や正しい理解を啓発する。

 厚生労働省は4月1日から、アゾ染料を使用した繊維・革製品の販売規制を始める。一部のアゾ染料が分解されると、発ガン性物質を生成する恐れがあるためだ。

 ボーケンの資料よると染料に使われる色素7000種のうち6割(4000種)がアゾ色素で、規制対象となる発ガン性の指摘されるものは24種。

 吉田泰教業務部長は「昨年10月ごろからアパレルメーカーや販売会社から検査の要望が高まっている」とし「中国では染色の履歴が不明なこともありきっちりとした検査が必要。気軽に相談してほしい」と話す。

 また12月1日からJISで定めたケアラベルが刷新される。これまではメーカーの製品に対する取り扱いの要望をラベルに記していたが、新たな表示は製品が特定の環境に耐えうる上限の基準になる。ラベルを付ける際にはより明確な理由が必要になるためボーケンのブースでは新たなラベルについてパネルで詳しく紹介する。

〈QTEC(5―201)/抗菌関連試験を訴求〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、JIAMに出展するとともに、神戸試験センターの射本康夫微生物ラボ長が4月8日午前11時からの特別企画セミナーで繊維製品の抗菌・抗ウイルス・消臭試験について講演する。

 今回の出展ではブースで抗菌をアピール。神戸試験センターは繊維評価技術協議会の指定試験機関として抗菌性能評価試験を実施。抗菌製品技術協議会の指定検査機関としてプラスチック製品などの抗菌性試験も行っている。海外では上海でも抗菌性試験に対応。また、神戸試験センターは人工血液バリア性試験、ウイルスバリア性試験も行う。こうした抗菌関連試験需要の増加に伴い同センターは増床した。

 射本微生物ラボ長の講演は抗菌性、抗カビ性など微生物試験についての話が中心となり、ISO化された抗ウイルス試験についても説明する。

 ブースでは縫製工場と検品工場の認証制度や具体的な内容についても紹介する。QTECは繊維製品の製造工程を考慮した試験・検査が行えるように技術力の強化を進めており、顧客のモノ作りをサポートできる体制だ。中国では上海、青島、無錫、深¥文字(U+5733)に拠点があり、アセアン・南西アジアにはダッカ、バンコク試験センターに加え、ベトナム試験センターを昨年開設。そうしたグローバル体制もアピールする。

〈ニッセンケン(5―216)/身近な相談役として〉

 JIAMに出展するニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は、エコテックス認証、繊維製品試験・検品、防災・安全評価、品質コンサルティングサービスに加え、グローバルなネットワークを紹介する。

 ニッセンケンはエコテックス共同体の日本唯一の窓口としてエコテックス規格100を認証する。4月から特定芳香族アミン規制が施行される。「問い合わせが増え、繊維製品だけでなく、染料・顔料メーカーからの試験依頼も。エコテックス認証を取得しようという企業も多い」と関心は高まる。

 また、生地や製品試験、機能性試験、雑貨・玩具試験のほか、検品や検反も行う。国内だけでなく、中国、インド、バングラデシュ、インドネシア、ミャンマー、カンボジアに拠点を設ける。

 東京事業所立石ラボで高視認性安全服の試験を行う。昨年10月に高視認性安全服がJIS化され、視覚的安全性に配慮した衣服への取り組みが活発化している。再帰反射性能測定、蛍光色測定、蓄光輝度測定などを実施。

 繊維製品の表示事項や製品の問題点などを専門にアドバイスする「品質コンサルティングサービス(QCS)チーム」も設置する。繊維製品の表示事項は、家庭用品品質表示法などに基づいて表示する。こうした関連法令の問い合わせや表示事項を中心に品質管理全般の個別相談を受けている。