AFF・大阪2016/中国内は中高級品に特化/小ロット・短納期に磨き

2016年04月14日 (木曜日)

 きょう14日まで開催されている「AFF・大阪」(会場=大阪市中央区のマイドームおおさか)は初日に続き、各ブースで商談に訪れる来場者の姿が多く見られた。主催者側によると初日の来場者数は1357人と前回展に比べ1割程度減少した模様だ。

 東南アジアに生産拠点を構え価格での強みを打ち出す企業が増えた一方、中国国内での生産を続ける企業もある。そうした企業は品質を高めるとともに、小ロット・多品種生産、短納期対応に磨きをかけ日本市場開拓に取り組む。

 カジュアルアパレル製造の南通如潤国際貿易は売上高全体の60%が日本向け、中国国内向けブランドのOEMも手掛ける。どのようにアセアン生産との違いを打ち出すかについて担当者は、「高度な設備で良い商品を、多品種・小量生産対応ができる」と話す。商談に訪れた5年間、同社と取引があるというアパレル業の男性は、「ここの強みは人。親切でこちらの様々な要望にぎりぎり限界のところまで付き合ってくれる」と笑顔を見せる。

 ダウンジャケットを中心に出展した大連百合服装は年間売り上げ規模が1000万ドル、日本と欧州向けが半分ずつの割合。得意とするスノースポーツ向けのダウンジャケットには透湿防水の機能素材を使い、イタリアスポーツブランドのトップゾーンに入っているという。担当者は、「カンボジアでは水着など安価な一枚物生産に、中国工場では技術の必要な中・高級品にとはっきり区別をつけて生産している」と語る。

 「上海中心の当社にとってチャンス」と話すのは上海合羽坊時装の馬力総経理。馬総経理は、「日本人の技術指導者を招き、品質や小ロット対応に磨きをかけることで日本向けが順調に伸びている」と説明する。上海の工場は20枚からの小ロットに対応し、規模の拡大も見据える。縫製地として、東南アジアとの競争ではなく、日本国内縫製の代替を狙う。

 子供服製造の昌楽秉賦貿易も複雑なデザインにも対応できる自社工場を訴求。同社の自社工場は山東省に160人規模で、日本向けが90%を占めるという。

 「東南アジア工場の建設も検討した」と話すのは南通中橋進出口の侯洪菊さん。しかし、品質面から中国工場の方が適していると判断。高い品質基準や200枚からの小ロット対応の自社工場を武器に日本向けの拡大を図る。

〈アジア全域の発展に寄与/中紡広告展覧総経理 孫 暁明氏〉

 「AFF・大阪2016」を運営する中紡広告展覧総経理の孫暁明氏に会期初日の手応えと今後のアジアの繊維産業における中国の役割を聞いた。

  ――展示会初日の手応えと出展者の声をお聞かせ下さい。

 昨年に続いて、初日から多くの来場者で会場はにぎわいました。出展者からは順調な滑り出しとの声が寄せられています。

 近年、中国から日本への繊維製品の輸出量は緩やかに落ちているため、当初、出展企業のなかでは、来場客が著しく減るのではないかという不安の声も聞かれたので、まずは安堵しています。初日の来場者は1357人と若干減ってはいますが悲観する必要はありません。

 中国企業は従来のやり方では伸びないと認識しており、様々な工夫を凝らしています。例えば日本向けは品質が非常に重視されると同時に、価格にもシビアです。ですからその両方を満たすため、生地の機能性を高めたり、コスト削減を徹底したりする努力が見られます。また納期も厳格ですから、今まで以上の短納期をアピールする企業もあります。

  ――東南アジア生産を打ち出す企業も目立ちます。

 従来、国籍を問わずアジア全域から出展者を募るというのが本展の趣旨ですから、東南アジアからの出展も徐々に増えています。ただ、完全な東南アジアからの出展はまだ少なく、本社が中国にあるなど、なんらかの形で中国がかかわっているケースが見られます。日本の顧客にとってもそのほうが信頼できるというメリットがあります。今後、さらにアセアンからの出展者を増やしたいと考えます。

  ――今後、中国の位置づけはどのようになりますか。

 アセアンの企業が台頭したからといって、中国の存在感が薄くはならないと思います。なぜなら、アセアンの成長の背景には中国が技術、資本、設備などを支援しているからです。30年前、中国が日本に多くを学んだように、中国は今、アジア全域の繊維産業の発展に寄与できる立場にあります。中国は今後、アジア全体の繊維産業のイニシアチブをとって世界へと供給する役割を担うようになります。