来場者数は前年並み/出展者の手応えに温度差/AFF・大阪2016

2016年04月15日 (金曜日)

 日本最大級の繊維・ファッション分野の展示会「AFF・大阪2016」(会場=大阪市中央区のマイドームおおさか)が14日、3日間の会期を終え閉幕した。開幕から2日間の来場者数は前年並みの2787人だった。「AFF・大阪2017」は来年の4月11~13日、同会場で開かれる。

 今回展では、中国で一貫生産し、欧米有力ブランドでの実績がすでにあるような高級品を生産する企業では「来場者がやや減った」という声が多かった。一方、アセアン地域・中国内陸生産などで価格メリットを前面に打ち出した企業は「成果があった」「以前より多い」などと好感触を示す傾向があるなど温度差が見られた。

 出展したフロアによっても反応が分かれた。アパレルが多い2・3階では、「いつもより多い」「ほぼ例年並みの成果があった」とする声が多かった一方、帽子・ストールなどの服飾品、寝装、素材分野の出展企業が集まる1階では「例年より来場者が少ない」との感想が多かった。

 来場者からは、「キシリトールを使った冷感素材、防水機能靴下などは日本では珍しく、参考になった」(ユニフォームメーカー・広島・男性)、「ストレッチ素材、ダウン用発熱中わたなど付加価値の高い素材が印象に残った」(作業服メーカー・北海道・男性)との声が聞かれ、なかには「ブースがどこも似通っていて自分が見つけたい企業を探しにくい。出展企業にはもっと強み、得意なところを明確に打ち出してほしい」(アパレル・大阪・男性)との要望もあった。

〈中国の出展企業/独創性や機能開発強化〉

 「AFF・大阪2016」では豊富な対日ビジネス経験を生かし、自らの感性で日本市場に企画から製造までを提案するODMを強化したり、日本が必要とする機能テキスタイルを独自に開発したりする中国企業が存在感を発揮している。

〈ODM提案強める/経験と感性で攻める〉

 大連天美衣服装はメンズシャツ、ジャケットが主力で、年間売上高は1500万ドル。うち80%を日本向けが占める。近年、従来のOEMだけでなく、計10人の自社デザイナーとパタンナーを活用しODM(相手先ブランドによる企画・生産)の提案も強化する。今回展では沿岸部より人件費が6割程度に抑えられるという黒龍江省の新たな工場での生産をアピールした。

 呉凱董事長は、「総合的に見れば、アセアン地域やバングラデシュよりコストは安い。当社は日本のニーズに合った生産体制が強み。今後も日本との取り組みを強化する」と話す。

 大連トウ加貿易は(1)ユニフォーム(2)スポーツウエア(3)カジュアル(4)小ロット生産――の4分野を手掛ける。売り上げ規模は年間1500万ドル以上で、すべての商品が日本向け。

 ユニフォームの一部を除き、メーン工場は大連にある。アセアン勢の低価格攻勢に、生産の合理化や人件費削減で対応し、高品質、多品種・小ロット生産を強みに日本市場を広げる。

 戚兵総経理は、自社企画のデニムダウンウエアが今年3月に日本のテレビ番組で女優の衣装として採用された例を紹介し、「当社の感性は日本でも通用する」と誇る。

〈機能素材で差別化/積極的に新商品開発〉

 「AFF・大阪2016」に出展する中国企業は機能素材を使った商品を提案するブースもある。コストメリットを打ち出すアセアン地域縫製に対する差別化にもつながるという。

 機能性・差別化糸とテキスタイルの開発、生産、販売を手掛ける聯潤翔〈青島〉紡織科技は春夏向けにUVカットや接触冷感素材を訴求。機能性を体験できる装置もブースに設置し多くの来場者が足を止めていた。日本向けビジネスが90%を占めるが、「機能性があっっても値段は厳しくなっている」ため、「価格の通る新商品開発の重要性」が高まっているという。今回展でも接触冷感などで従来よりも高い効果を訴求する。

 「機能性商品によりアセアン縫製とも差別化できる」と指摘するのは、山東省●坊魯錦進出口の担当者。同社は機能性の水着やインナーを提案。UVカットや接触冷感、吸湿発熱、抗菌防臭、制電性などの機能を打ち出す。無錫振キン特種紡織品は水着やインナー、スポーツ用途にUVカット、防臭などの機能性生地を提案。生地がメーンだが製品まで扱う。

 南通雷成運動休閑服飾はSEKの制菌加工赤ラベルを取得した介護ユニフォームを提案。制菌以外にも制電やUVカット、透け防止などの機能も持たせた。(●=さんずい偏に維)