多様化する中国繊維企業/「AFF・大阪2016」レビュー(前)/それぞれの強みアピール

2016年04月18日 (月曜日)

 日本最大級の繊維・ファッション分野のOEM/ODM展示会「AFF・大阪2016」が14日、閉幕した。中国企業にとって対日ビジネス環境が難しいなか、各社それぞれに強みを打ち出し、ビジネスモデルの多様化が鮮明になっている。AFF・大阪2016を振り返る。

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 AFF会期2日目までの来場者数は2787人とほぼ例年並みとなった。

 出展者のなかでも手応えにはばらつきが見られ、好感触を示したのはコストメリットのある東南アジア生産を全面に打ち出した中国企業だった。実際に新たに設けられた「東南アジア工場」エリアでは連日、多くの来場者が中国系企業と商談する姿が見受けられた。来場者が製造価格を抑えられる取引先を探している表れとも見える。

 チューワ〈カンボジア〉は布帛の婦人衣料が主力だ。中国工場で生産したテキスタイルを人件費が半分で抑えられるというカンボジアで縫製し、高品質と低価格をアピールした。細谷龍太マネージャーは「前回より来場者が少ないと聞いたが逆に多い印象。商談も多かった」と手応えを実感した様子だった。

 ウェルピュートLPBマニュファクチャリング

(ラオス)は、イタリアや中国産のファッション感度の高い素材を使ったレディースセーターやカーディガンをメーンに出展。ウール100%でビーズやラメ糸を使った手作業の装飾も加えた付加価値の高いものが多い。ラオス生産による価格抑制をアピールした。

 一方、東南アジアに進出せず中国での高級品生産に特化する企業もある。

 こうした企業からは「来場者が減った」「例年並み」という声が聞かれた。西安聖雪絨カシミヤ製品は中国生産のみで、カシミヤ100%の製品OEMが主力。ブースの担当者は「来場者は前より少ない。商談となっても価格を伝えたとたん難色を示されることもあった」と話した。

 DIDA(中大技術集団)は東南アジアでは扱いがまだ難しいとされるシルク、カシミヤ素材の婦人服を出展。担当者は「既存の取引先との商談は進んだが。新規の客は少ない」と振り返る。

 AFFを運営する中紡広告展覧の孫暁明総経理は、「中国の対日輸出量が徐々に減っているなか、出展企業は従来のやり方では伸びないと認識している」とし、「品質を高める、納期を短くする、価格を抑える。各社ごとにふさわしい新たな工夫をしたブースを構えている」と話す。