トンボ 社長 近藤 知之 氏/周年事業“集大成”へ/次期中計で売上高300億円想定

2016年04月26日 (火曜日)

 トンボ(岡山市)は創業140周年を記念し、昨年から「トンボ140thアニバーサリーマーチャンダイジング(140AMD)」プロジェクトを展開し、ブランディングを強化してきた。今年はその「集大成の年」(近藤知之社長)として、新たな動きを図る。3カ年の次期中期経営計画では最終年度に売上高300億円を想定。M&Aも視野に入れた事業拡大を進める。

  ――今入学商戦はいかがでしたか。

 今期はモデルチェンジ校が、当社の統計では250校ほどあり、そのうちの約4割を獲得でき、例年以上でした。スムーズに供給できたことで、3月単月の売上高は過去最高を達成しました。

 スクールスポーツについても「ヨネックス」ブランドは新規採用が約100校あり、累計700校ほどになっています。

 今年、創業140周年を迎えるに当たって、昨年から「トンボ140thアニバーサリーマーチャンダイジング(140AMD)」プロジェクトを展開してきました。スコットランドのロキャロン社とのタータンチェックの開発、英国大使館での発表をはじめ、学校別注用途へ制服ブランド「イーストボーイ」の投入など、業界やエンドユーザーへの発信を強め、認知度を高めてきたことも売り上げ拡大に寄与しました。6月期決算も増収になる見通しです。

  ――今期は3カ年の中期経営計画の最終年度となります。

 最終的に売上高で280億円を計画していますが、昨年は消費増税の駆け込み需要の反動を受け、売り上げが落ち込みました。さらに制服を納入する既存校の生徒数減少の影響も大きく、足踏みをしたことで、その目標には届かない見通しになります。

  ――次期中計についてのポイントは。

 改めて計画を見直し、事業を拡大しながら2019年6月期には売上高で300億円の目標を掲げます。ただ、少子化は今後も続くことから、将来的に学生服分野で拡大していくことは難しくなってきました。一方で介護ウエアの市場は拡大し続けています。当社のヘルスケア事業は、主力の「キラク」に「ケアリュクス」や「栗原はるみ」を加え、商品群を底上げしてきました。

 他社の市場参入が多い分野だけに、供給が飽和状態にありますが、今後売上高を現状の17億円(15年6月期)から40億~50億円規模に拡大していくためには、M&Aも想定していく必要があります。

  ――新規事業の拡大も課題です。

 14年に販売を開始した“老犬介護”に特化した製品ブランド「ウィズ」は、主力の犬の歩行補助ハーネス(胴輪)だけでなく周辺商品も強化しています。「インターペット」といった展示会へ出展した際には、海外からの引き合いも多く、海外への市場開拓もチャレンジしていきたいですね。

  ――14年から稼働する「トンボ倉吉工房」の生産はいかがですか。

 従業員は50人弱で、ブレザーを中心に3万点以上を生産しています。従業員が増えてくれば生産ラインを増やし、2ラインで増産を図ります。

  ――今年も140AMDを継続します。

 今年は集大成の年と位置づけ、まだ詳細を明かせませんが、様々な取り組みを企画しています。とくにスクールスポーツでは2020年の東京五輪をにらみ、自社ブランド「ビクトリー」を一段と強化していきます。

  ――「制服が高い」という報道が増えています。

 日本も英国式になっていく懸念があります。英国ではパブリックスクールのようなエリート校にはちゃんとした制服がありますが、普通の公立校になれば日本の量販店のような所で海外生産の上下セットをそろえ、ワッペンだけ付けるといったスタイルが主流です。

 しかし、日本の制服は3年間着用することを想定していますし、冠婚葬祭にも着用できます。また、生徒全員が同じ制服を着用することからいじめの防止にもつながります。もちろん価格が高いといった意見を無視するわけではありません。しっかり顧客の声を聞きながら、ニーズに沿った商品の開発、供給を進めていかなければいけません。

  ――貴社の“ぶれない軸”はどういったところでしょうか。

 国内生産と納期を絶対守るということです。顧客の立場に立ったモノ作りを心掛け、これからも品質を守っていきたいと考えています。

 こんどう・ともゆき 1980年テイコク(現・トンボ)入社。99年営業統括本部販売統括部長、2001年取締役営業統括第一営業本部長、03年常務、10年専務。12年9月社長。

〈私の好きな1曲/英語の歌を練習中〉

 奥さんがシャンソンを週1回習っているという近藤さん。そんな奥さんから「英語の歌を一つぐらい歌えるようになったらどうなの」と言われ、今練習しているのが「ロシアより愛を込めて」。スパイ映画「007」が元々好きだったことからこの映画の主題歌を選択した。普段は演歌を歌うことが多いそうだが、「妻には負けないよう一生懸命練習しています」。