繊維ニュース

検査機関の今年度方針は

2016年04月26日 (火曜日)

 検査機関にとって“ぶれない”部分は、顧客満足度の向上であろう。生産シフトで試験依頼が国内から中国に移れば、中国に拠点を設け、さらにアセアン地域や西南アジアへと進出する。その一方、「現状維持は衰退の道」も確かで、化学試験や非衣料分野といった方面にも業務の裾野を広げている。各検査機関の今年度の方針を聞いた。

〈カケン/国内増収策にも注力〉

 カケンテストセンター(カケン)の長尾梅太郎理事長は、「2015年度の業績は連結ベースで増収だが、国内だけでは減収になる」と見込む。このため、16年度は国内の増収を目指す。

 国内減、海外増という傾向は前年度から続いている。試験別では抗菌、消臭、吸水速乾といった機能試験の依頼が増加した。この7月には北陸検査所(福井市宝永)を福井市江端町に移転する計画だが、「北陸地区はスポーツ素材が多く、移転と同時に透湿防水性試験機も導入し、納期の短縮化を図る」という。

 国内を中心に重要改正3案件(特定芳香族アミン類規制、新ケアラベル対応、子供服の安全性)セミナーを開催。全国各地を回るキャラバンセミナーと個別企業の要望に応じる出前セミナーの二通りを行う。「毎日、どこかでセミナーを開いているペースだ。ほぼ満席だが、特定芳香族アミンについては試験依頼も多く、海外のパートナーの協力を得て、大量・短納期対応も可能な体制」だ。試験報告書のデータベース化で、顧客サービスにも注力する。

 海外では上海科懇検験服務が昨年12月に抗菌室を設置し、抗菌性試験を本格稼働した。「中国からのアセアンシフトはまだ進むだろうが、アセアンは1国当たりの量が少ない」のが克服課題だ。「人材育成が最も重要」と、人作りにも取り組む。

〈ボーケン/非繊維分野拡大にも注力〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、検査機関を囲む環境は厳しさを増しているとし、「既存顧客を維持しながら、新規顧客開拓、非繊維分野の拡大に注力する」(堀場勇人理事長)方針だ。

 国内の衣料業界の消費不振、中国は為替の円安や人件費増などで収益性が低下してきた。2016年度は支出削減に取り組むとともに、非繊維分野の開拓を含めて顧客層を広げていく。

 この4月から化粧品関連の化学分析も開始した。繊維では特定芳香族アミンの試験が注目され、ボーケンも東京、大阪(両事業所はJNLAの特定芳香族アミン類の分析試験所として登録)、上海の3拠点に加え、SGSと提携する広州、香港、杭州、台湾、アセアン拠点でも試験を実施する。

 この安心安全の化学試験は化粧品関連の成分分析でも要望があり、ボーケンは試験体制の準備を進め4月から輸入業者を中心に開始した。また、電気安全環境研究所や製品安全協会、テクノサイエンスなどとの取り組みで、幅広い分野で安心安全をサポートする。

 中国では昨年12月に抗菌業界の全国衛生産業企業管理協会抗菌産業分会(CIAA)に加盟。「中国をはじめとした抗菌業界・市場の発展に貢献できるよう活動」していく。ボーケンの「クライアント・ファーストをモットーに、チャレンジする」風土は変わらない。

〈QTEC/スピード感ある変革実行〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、2016年度からの3カ年計画「S計画」を策定中で、5月にまとめる予定だ。奥田利治理事長は、「現状維持では生き残れないという認識のもと、スピード感のある変革と実行で、特色のある検査機関」を目指す考えを示す。

 QTECは昨年11月から機構改革に着手した。海外事業部の下に中国地域統括(上海、青島、無錫、深¥文字(U+5733)試験センター)、アセアン・南アジア地域統括(ダッカ、バンコク、ベトナム試験センター)を設けた。「中国地域統括により4拠点に一体感が出てきた。検査業務に横串を刺していく」という。昨年11月に開所したベトナム試験センターは、1人増員して認知度向上に努める。

 業績評価システムも改善する。4月から国内営業で実った試験を海外事業所で試験することになっても、国内営業の売上高に反映できる形に変え、モチベーションアップを図る。今後は内部委託の業績評価も見直す予定だ。

 昨年からは、営業力強化として東部と西部事業所に顧客サービス部、中部事業所に営業部を設けている。「今後は試験・分析のプロだけでなく、コミュニケーション力や発信力、海外への関心を持つ人材育成」に力を入れていく。また、神戸の微生物、東京の生活用品・資材、中部の羽毛など特徴ある検査機関として磨きをかけていく。

〈ニッセンケン/内外ネットワークを結ぶ〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は、海外事業所のネットワークを活用したトータル提案を行うとともに、高視認性安全服の試験など新たな分野も拡大していく。1日から特定芳香族アミン規制が施行された。この特定芳香族アミンの分析は、東京事業所、エコテックス事業所、大阪事業所で対応する。エコテックス事業所では新たに液体クロマトグラフ質量分析計を導入、残留農薬など従来以上に広範囲の試験が可能になった。

 海外では上海、南通、南通人民路の事業所と、インドネシアのジャカルタラボ、インドのジャイプル事業所、バングラデシュのダッカ事業所で試験対応。駒田展大理事長は「中国は今年中に全事業所が対応できる体制になる」と言う。

 また、中国では内販向けを強化。「縫製のアセアンシフトとはいえ、中国の存在は変わらない」とし、中国の貿易公司への働きかけを強める。ニッセンケンは試験と同時に検品事業も行い、その相乗効果も発揮する。一方、バングラデシュやインドは欧米向けも視野に入れる。日本と海外事業所をネットワークで結んだトータル提案を推進する。

 昨年10月に「JIS T8127(高視認性安全服)」が制定された。立石ラボは特殊試験機を導入してこの試験に対応。「今後も様々な分野でコンサル的機能も発揮していく」考えだ。