繊維ニュース

生活環境を評価する検査機関

2016年06月15日 (水曜日)

 人間を取り囲む環境は、自然だけではない。住宅や店舗、衣服や寝装品といった日々の生活空間も環境である。その環境をいかに快適に、安全にしていくか。メーカーは様々な商品を提供する。そうした機能や安全性を第三者として評価するのが検査機関の役割である。

〈カケン/快適安全支える試験開発/RSL管理にも協力〉

 カケンテストセンター(カケン)は、機能性繊維製品の性能評価方法で優れた技術力を有する。透湿防水、接触冷感、遮熱といった快適機能から、消臭、光触媒、抗菌性などの清潔機能、表面フラッシュ、難燃性、帯電防止などの安心・安全機能である。また、マスクのPFE(微小粒子捕集効率)試験では、花粉粒子や細菌などの捕集ろ過性能を評価する。

 こうした技術力を背景に、カケンは(1)繊維製品の光吸収発熱性評価方法(2)繊維製品の紫外線遮へい性評価方法(3)繊維製品の遮熱性評価方法(4)繊維製品の防蚊性試験方法のJIS規格開発にも参加している。

 また、提携機関と協力してRSL(規制物質リスト)に基づくサプライヤーの管理システムを支援する業務も行う。大手スポーツアパレルなどグローバル企業は、自社製品の製造に関して、サプライヤーから供給される原材料、部品、さらに梱包材に至るまで、RSLに基づく有害な化学物質などの使用を規制している。欧米でそうした動きが加速しており、カケンのグーバルコミュニケーション戦略は海外法規制情報を提供する。

 さらに、ビューローベリタスジャパン社が日本で行うグリーンビルディングサービスを紹介する。店舗の省エネルギー性能などに対する評価を行うものだ。

 日本はベビーやパジャマ製品などに対するホルマリン規制が厳しい。「製品そのもののホルマリン試験もあるが、例えば店舗の什器から衣料にホルマリン移染するケースがある。縫製工場の作業台からの移染もあり、そうした什器や作業台の試験も」行っている。

〈QTEC/防護服関連試験が充実/遮像カーテン試験も開発〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は生活環境の中の様々な安全・安心の評価試験を行う。神戸試験センターは、SEKの抗ウイルス性、抗菌性、抗カビ性などの試験を行う。昨年4月から繊維評価技術協議会による抗ウイルス加工マーク認証が開始された。QTECはその指定試験機関である。「抗ウイルス性試験が認知され、繊維業界だけでなく、他業界(プラスチック、液剤業界など)からの依頼も増えている」と言う。

 また、同センター微生物ラボでは化学防護服材料が加圧条件下で液体に継続的に接触した場合の耐液体浸透性能を目視する試験を実施。人工血液やウイルスに対するバリア性の評価である。

 東京総合試験センターでは、粉塵防護服の評価(JIS T8124―2)を行う。塩化ナトリウムの粒子をブース内に充満させ、防護服内外の塩濃度を計測してバリア性を評価する。試験プログラムには歩行や屈伸運動も加えて、実際の作業動作をデモンストレーションした総合的な防護性能の確認をすることも可能だ。

 QTECは消防庁施行規則に基づく登録認証確認機関として、防炎ラベル表示事業者に対する確認業務を実施する。1年で400万枚の製品に防炎表示を行っている。福井試験センターは消防法関連のほとんどの燃焼試験設備を備え、この防炎性能を試験する。カーテン、寝具、インテリア、自動車内装材などの防炎性能を評価する。

 同センターではカーテン素材の遮熱性試験、保温性試験のほか、「遮像性試験QTEC法」も考案した。部屋の中が見えにくいカーテンの評価方法であり、プライバシーを保護する。

〈ニッセンケン/「エコパスポート」を開始/染料・助剤から安全性を〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は6月からエコテックス「エコパスポート」認証制度を開始した。「エコテックス規格100」に続き、新たな染料・助剤・仕上げ加工剤などに対する安全認証である。4月から施行された特定芳香族アミン規制に、繊維産業SCMの川上から安全性を確保する取り組みだ。

 エコテックス国際共同体(本部スイス、世界16機関が参加)はこのほど、繊維製品の生産時に使用する染料/顔料・助剤・仕上げ加工剤を対象に(抗菌加工剤、難燃加工剤は対象外)、化学物質に対する安心・安全の認証「エコパスポート」を設定した。

 日本で唯一の認証機関であるニッセンケンが、日本での申請受け付けを開始している。

 ニッセンケンは「日本でも繊維製品の安心・安全性への意識が高まった。最終製品の安全性だけでなく、欧州のリーチ規制など化学物質全般に対する質問も頻繁に寄せられている」とし、「染色や加工で使用される原料自体の安全性確保は、繊維製品全体の安全性の底上げにつながる」と言う。

 認証はRSL(規制物質リスト)、MRSL(製造時規制物質リスト)の精査を行う段階と、エコテックス規格100で規制されているものと同等の安全性分析試験の2段階で行われる。申請から認証取得まで約2カ月。商品認証登録費は12万円で、染料・助剤メーカーなどが対象企業となる。

 使用薬剤の安全性の担保、証明になるほか、従業員の安全性確保、染色・加工製品の安全性リスクの低減にもつながる。「昨年からこの制度への問い合わせが多い。初年度約50の認証を目標にする」