「AFF・名古屋」への期待
2016年06月20日 (月曜日)
〈労働環境の適否も重要/タキヒヨー専務 岡本 智 氏〉
当社は、ベーシックでロットが大きいアイテムを中心に、アセアンをはじめとする「チャイナ・プラスワン」地域での生産を拡大しています。(労働力確保難や人件費の上昇などによって)中国での生産が難しくなったからです。
20ラインあるのに、労働力不足で10ラインしか稼働していないなどといった例が、中国の沿海部にはあります。
このため当社の協力工場は、山東省、遼寧省、吉林省、黒竜江省、安徽省などに新工場を設けたりしています。
とはいえ、中国は依然として重要な生産拠点です。リードタイムが短く、日本ほどでの水準ではありませんが現地調達できる素材も豊富だからです。「昨年は現地調達できなかった素材が、今年はできる」といった感じで、進歩しています。モノ作りがスピーディーで、素材調達力もある中国企業には、チャンスがあると思います。当社も、そのような企業とは、ぜひとも取引したいと思っています。
その工場の労働環境が適正か否かも、取引するかどうかを決める重要な要件になりつつあります。労働環境が適正でない工場で作った製品を受け入れない小売企業が、日本でも出てきました。
「不良品を作らない、作っても外に出さない」という姿勢も、中国の工場に求めたいですね。当社が大連に設けた品質管理センターが、検品会社と共同で協力工場に指導しているのですが、「作らない、出さない」という姿勢が徹底されていれば、そんなことは必要無くなります。
AFF・名古屋では、モノ作りがスピーディーで、素材調達力があり、労働環境が適正で、かつ品質が確かな企業との出会いを期待しています。
〈特徴を明確にしてほしい/瀧定名古屋専務 岩田 政治 氏〉
日本は、衣料品がどんどん売れる状況にはありません。大きく変化しており、販売方法も多様化しています。これに対応して、作り方も変えないといけません。
これまでのような計画的大量生産が、予定通りにうまくいくとは限りません。計画的に大量生産し、コストを下げるという方法は必要ですが、それだけでは今の市場に対応できません。マーケットの変化に応じたスピーディーな対応がより重要になっています。売れそうなものを予測して計画的に作ること、そして売れているものを直ぐ作ることの両方を、柔軟に調整しながら行う必要があります。これを中国でいかにして行うかが、大きなポイントです。
中国には素材から副資材、そして縫製までの工場があります。日本市場向けのモノ作りの歴史も長い。効率的に生産するには最も適した国だと思います。もちろん中国の繊維産業全体を見れば、労働力確保難、人件費の上昇など様々な課題があります。しかし、個々の工場を見ると、優れた工場がたくさんあります。
当然ですが、品質不良、納期遅れを出すようではだめです。しかしそれは、必要最低条件であり、十分条件ではありません。色々な特徴を持つ工場を組み合わせて活用し、様々なニーズに柔軟に対応することが今求められています。
日本市場の変化に対応するために、我々もモノ作りの考え方を変えないといけません。そのためには、工場との緊密なコミュニケーション、そして互いの信頼関係が従来にも増して重要になります。「AFF・名古屋」の出展者の皆さんには、それぞれの特徴をはっきりと打ち出していただければと思います。