インタビュー/現況と今後の戦略・課題

2016年06月30日 (木曜日)

〈「アルトしかできない」発信/アルトコーポレーション 社長 廣瀬 由武 氏〉

 16春夏に発売したデニムスタイルのユニフォームが好調に売り上げを伸ばしている。展示会直後からすぐに引き合いがあり、流通やビルメンテナンスのほかショップや作業着としても購入されているようだ。ワークウエアの需要の変化と、サービスウエアとのボーダーレス化を実感している。

 前期(2016年3月決算)は減収減益となった。3期連続黒字は達成できなかったが利益率の改善に努め、体制は整った。今期は定番商品の拡大に注力していく。デニム企画は、ソフトワーク向けカタログ「カジュアルワーキングドットコム」とワーキングスタイルカタログの双方に掲載し販路を広げる。今期からはワークショップへのアプローチも強化中だ。社長就任から2年半、営業力強化のため配置転換などもかなり行ったが、積極的な意見もかなり出てくるようになった。今期は新しいステージとして、「アルトでしかできないもの」を発信していく。

〈ブランドイメージ強みに/アプロンワールド 社長 矢澤 真徳 氏〉

 16春夏商品は全体では昨年並みで、工場用白衣、メディカルウエア、サービスと各カテゴリーとも堅調に売れている。メディカルは市場に様々な商品が出てきているなかで、患者目線、ユーザーフレンドリーなウエアを求める動きがある。当社では「アンパンマン」の企画を発売した。子供に人気のキャラクターをデザインしたウエアで、小児科などでコミュニケーションに役立ててほしい。

 飲食サービスはオリンピックに向けた需要が期待されている。最近は外国人の目を意識した店づくりが増えており、ユニフォームも既存のものとは違うタイプが選ばれている。ステレオタイプではない「和」のユニフォームの競争となり、新しいトレンドが出てくれば市況も活気づくだろう。

 「カゼン」へのブランド変更はスムーズに浸透している。商品とブランドイメージを連動させ、強みにしていきたい。

〈適正価格で利益を出す/チトセ 社長 阿部 陽一 氏〉

 2016年2月からの商況は昨対比16%増。カタログ別ではメディカルウエア「ユナイト」が伸び、白衣・飲食サービス向け「アルベ」は定番商品の刷新が奏功して数%増、定番商品美容・エステ向け「キャララ」が微増。

 メディカルは今年から企画・カタログをリニューアルし、販路も拡大している。在庫を積まないと販売機会をロスし迷惑をかけてしまうが「もっと作ってほしい」と要望され、「取引」が「取り組み」に前進したケースもあった。競争の激しい分野だが伸ばせる可能性はある。

 4月1日付で社長に就任した。デザイン性を強みとしてきたが、価格と折り合ってはじめて商機が生まれる。素材、生産コストが確実に上がっていくなかで適正な価格を設定し、利益を出せる仕組みづくりが重要。生産、営業、企画が三位一体となって仕掛け、伸び代を増やしていきたい。

〈東京市場を強化したい/住商モンブラン 社長 長尾 孝彦 氏〉

 2016年5月期決算は売上高が前期に比べて約9%の増収となり、創業66年目にして初めて100億円を超え、増益も果たした。食品、食品工場をはじめ、医療、介護の各分野とも増収で、この実績が全体を押し上げた。

 昨年から打ち出した医療分野での「ローラアシュレイ」も好調に推移していて、今後、強化していく分野と考えている。

 7月に東京ビッグサイトで開催される「国際モダンホスピタルショウ2016」には「モンブラン」商品を出展する。

 ユニフォームを専門に扱う代理店も順調に増えており、好調な販売を続けている。今期も増収を見込んでいる。とくに関東市場を強化したい。そのため7月末に従来の倍のスペース(約660平方メートル)の新オフィスに移転することになっている。東京オリンピック開催に向けての期待感もある。

 営業面では、カタログが重要な営業ツールになっていて、今後もカタログ戦略を重視していく。

〈顧客とのパイプ、独自性強化/ガードナー 社長 渡辺 英治 氏〉

 今期前半は2月がやや苦戦したが増収基調を維持、計画通り進ちょくしている。クリーンルームウエアは半導体の伸び悩みのなかで食品、製薬向けに早めに着手したことが奏功した。食品は品質管理の要求水準が高く、当社のノウハウを生かせる。製薬はジェネリックの生産で需要は堅調。主戦場である半導体は一部で回復も見られるが、ここだけでリーマン・ショック前の水準まで戻すのは難しい。顧客とのパイプ強化とオリジナリティー強化が課題。

 今年5月に本社(埼玉県加須市)の営業を東京支店と統合し情報共有を図っている、生産、企画、今後は経理部門も東京に集約し、本社は開発、物流、品質管理機能を強めていく。東北、中部、九州の各拠点のエリア戦略も重要だ。

 クリーンルームウエアは単なる作業着ではなく、製品の品質や生産効率にも関係する。メリットをしっかり打ち出していく。

〈ニッチな領域を広げる/トンボ 執行役員ヘルスケア事業本部長 福井 正人 氏〉

 今期(6月期)は前期比8%の増収になりそうだ。とくに患者衣や室内衣といった「キラク」のコンフォートウエアが、洗濯レンタル業者向けに販売が拡大した。学生服アパレルとして培ってきた技術力を生かし、工業洗濯への耐性を高め、商品に対する安心感があることが評価された。

 介護ウエアも、主力のキラクに加え、一格上をイメージしたシックなテーストの「ケアリュクス」、新ブランドの「栗原はるみ」といった多ブランド化によって商品の選択肢が増えていることで、販売増につながった。

 来期は介護ウエアでは栗原はるみのアイテム数の充実など、よりニーズに応える商品を打ち出す。さらに薬局衣「ウィキュア」をはじめ、理学・作業療法士ウエアやスクラブ、検診用ウエアなど、他社があまりやっていないニッチな分野を中心に市場を掘り下げ、個性のある商品を広げることで増収を確保していきたい。